計画的な学習を (川窪 千鶴)

2011/04/01

私は日本の普通科の高校で国語を教えています。同様に英語を教えている友人から、日本語教師の資格・検定試験について聞き、自分の視野を広げ教養を深めるために、420時間総合コースと検定試験への挑戦を決めました。

フルタイムで仕事をしながらの勉強なので、無理の少ない「2年計画」を立てました。当時はまだWEB講座は開始していませんでしたが、私には人と多く接しながら学べる通学講座の方が向いていたと思います。2009年10月に420時間総合コースの受講を始め、2010年に検定試験を受験する準備はできないと思い受験を見送り、全ての授業を修了したのは2011年6月。翌月から検定演習科に通い、2011年10月の試験で合格しました。

当然ながら420時間総合コースで学んだことは検定試験に直結するので、授業内容はその都度すぐに吸収した方がいいと思います。その意味では、体力に自信のある方は、1年間で420時間総合コースを修了し、勢いのあるうちに検定を受ける、というのも手かもしれません。

私は2011年の受験でしたので、受講初期に学んだことは特に、結構忘れてしまっていました。検定演習科では、池田先生の丁寧なご説明やレジュメをもとに復習ができ、頻出事項もわかるのでとても助かりました。

ただ、やはり自分ひとりで勉強する時間をしっかり取らなければ、合格はできません。私は過去問題集やアークの新合格水準問題集を5冊ほどと、アーク模試の問題(仕事で受験できなかったのですが問題をいただきました)を繰り返し解きました。そうすることで、例えば受身や連体修飾、比喩の種類、ピジンとクレオールの違い、テストの妥当性と信頼性の違いなど、ほぼ毎年といってよいくらい出題される事項がみえてきました。特に試験Ⅰは、努力が点数に直結する試験で、池田先生もおっしゃったようにこの検定試験は「1点が貴重」な試験なので、過去問題や類似問題を何度も解くことは重要だと思います。

他には用語集にも何度も目を通しました。疲れている時や乗り物に乗っている時にも、蛍光ペンを鞄に突っ込んでおいて、線を引きながら黙読するのです。回を重ねるごとに色を変えたりして気持ちを盛り上げ、すぐ忘れる事項はマルでぐるぐる囲みました。それでも試験当日、「何度もマーカーを引いているはずのところを覚えていなかった!読み流していたんだなぁ……。」と悔やむことはありましたが、知識は絶対に増えていたと思います。

また、双文社出版の「全重要語チェック集」という本も、一問一答形式で覚えやすく、非常に役立ちました。同じ本を何回も反復して、知識を確実にすることが大事だと思います。

私が検定試験の受験勉強に本格的に取り組んだのは7月から10月までの4か月ほどです。直前期はさまざまな「楽しいお誘い」も涙を呑んで断り、家にひきこもって勉強する日々が続きました。数少ない休日も缶詰めになって10時間以上勉強し、大学受験の頃を久々に思い出しました。「今日はこの問題集を全てまるごとおさらいする!」などかなり強引な目標も時には立てながら、試験当日の休み時間まで頑張りました。

苦手だったのはまず試験Ⅱです。英語学習では見たこともないような発音記号や、声道断面図。「こんなの覚えるの?!」という抵抗感は正直最後まで消えませんでした。それでも何度も何度もプリントを眺め、試験当日は声が出ない程度に口の中で舌を動かしました。試験Ⅲも、幅広い知識がないと太刀打ちできない大きな壁でした。

当日の試験は、時間は長いのですがそれでもぎりぎりの勝負で、集中力が要求され、疲れました。コンディションを整えておくことが大切です。試験Ⅰでは特に、検定演習科で学んだことがかなり役立ちました。試験Ⅱは、瞬時に答えを選ばなくてはならず、先へ進んでから前の問題に戻る時間が一切ないので、CDなどを使ってよく練習しておくべきです。試験Ⅲでは、池田先生に言われた通り、最初に記述の問題がどんなものかを読んでから、選択問題を解き、記述を最後に書きました。記述問題では、日本語教育の専門用語を自在に操ることまではできませんでしたが、教員としての自らの経験に基づきながら、採点官に読みやすい文章、読みやすい文字を書くように心がけました。同じ内容なら、読んでいてすっと目になじみ頭に入る文章の方が好印象を与えるはずです。仕事柄読み書きは速いので、試験Ⅲの時間配分には困りませんでした。読み書きに時間がかかる方は、スピードアップの練習をするとよいと思います。

それと、私は問題演習の際、「適切なものを選べ」に混ざってちょくちょく出てくる「適切でないもの・不適切なものを選べ」によく引っかかっていました。だから試験当日は、最初に全ページの「不適切選び」に大きいマル印を付けて、まんまとだまされないようにしました。

また、ささいなようで案外重要なこと。試験会場の女性のお手洗いは混雑します。一つの試験も長いので、水分を取りすぎないようにし、お手洗いに並ぶタイミングも考えた方がよいと思います。それに10月でも冷房がついている会場もあります。上に羽織るものの持参も必須です。私は冷房が苦手なのでカイロも持っていきました。

試験後に自己採点をしたら、試験Ⅰが8割、試験Ⅱが7割、試験Ⅲが6割という微妙なできばえで、「試験Ⅲには付け焼刃の知識では対応できないな。」と感じました。つまり選択問題ではトータルちょうど7割くらいしか点数がないわけで、「記述が取れていても合格は無理だ!来年も受けなければ……。」と落ち込んでいたのですが、合格通知が届いたので本当に嬉しかったです。受験者数に対する合格者数の割合が従来約20%だったのが、今年は約25%まで上がったので、なんとか滑り込めたようです。

アークの先生方の適切で温かいご指導と、職員の方々のご尽力、遅刻した時にはノートを見せてくれ、席を外した時にはプリントを取っておいてくれ、教室や飲食店で愚痴を言いながらも励まし合った仲間の存在のおかげで、合格できたと思います。自分は参加できないと思っていた合格祝賀会に加わることができて皆さんに再会し、お話や写真撮影もできて感無量でした。

勉強は、つらく感じることもありますが、自分を成長させてくれます。尊敬できる先生や友だちも増えて、損することはなんにもありません。これから勉強なさる皆さん、頑張ってください!

川窪 千鶴さん

日本語教育能力検定試験
第25回 平成23年度 合格