試験合格はこれからの経験のために (大西 麻里子)

2011/04/01

自分探しの旅などに没頭した20代、30代ではなかったけれど、40歳になった途端に、なぜか「このままじゃいけないんじゃないの。」という声が聞こえてきた。何に一念発起するかは直感で決め、日本語教室のボランティアに参加をすることにした。海外生活が長かったとか、前に学校の先生をしていたとかそんな経歴は一切ない。日本語を教えることと、ボランティアを軽く考えていた私は、その場で本格的に知識吸収が必要なことを実感する。「先生、それは1グループですか?」。「え?何、日本語の動詞にグループってあるの?」。甘かった。その日本語教室ボランティアでは所属している人の多くが、420時間の講座を修了し、日本語教育能力検定試験を合格しているといった両方の履歴を持つ方々であることも、動機のひとつとなった。早く追いつきたかったのだ。

アークアカデミーでまず420時間総合コースを2010年7月から受講することにした。平日は、会社員として働いているので、夜と土曜日に通学し、4期1年間で養成講座を修了した。その後、2011年7月期にあたる時期に、3ヵ月間検定演習科を受講することにして、渋谷校に再び土曜日通うことになった。働きながら、自ら空いた時間を探して試験勉強するということが、私の性格上無理そうだと思ったからだ。何らかの形で時間的に拘束があり、やらなければならないといった感情を少しでもキープしておくには、この方法がいい策だと。それに、年に一回しかない試験なので、例え難関であろうとも一回で合格したいという気持ちも強かった。養成講座のときに、いっしょに学んだ方々も、検定演習科を受講されるというので、情報交換ができたこともよかった。

多くの問題を解くこと
検定演習科では、配布された冊子で講義を聞き、そのあと、問題を解く実践を1日3コマ授業の中で行った。講義では、「養成講座の理論科目では、これ習ったかなあ?」と思うような内容もあったけれど、新しく何かを覚える、気づくってことは単純に楽しかった。そして、問題を解く時間では、常に満点を目指して取り組んだ。1問でも間違うと、なぜか悔しかった。4択中の怪しい2問(私の場合解答するとき消去法で最後に2問を残し、迷うことがよくあるので)をにらみ、問題に向かって「ほう、そうきたか~」としょっちゅうつぶやいていた。

そのほかは、検定演習科が始まる直前に発行された2011年版のアークアカデミー『新合格水準 日本語教育能力検定試験問題集』やアルク発行の『合格するための本』、そして3年分の過去問題を解いた。通勤時間は、短いけれど(電車で片道15分なので)i-podで試験Ⅱ対策用に聴解問題を聞いて通勤。私がフォーカスするべきは、声道断面図だった。

あとは、新聞記事やネットに目を通したり、『敬語の答申』を読んだり、国際協力基金のサイトなどで数字の確認をしたりしていた。ここまでは他の方とそれほど変わりない受験勉強だと思う。

本ばかり読んで過ごす
2011年は、日本語教育能力検定試験のほかに、別の国家試験や語学試験にもチャレンジしたし、趣味の楽器演奏や日ごろのジムでの筋トレも変わらずに続けていたし、実はこの試験対策一色の生活ではなかった。そんな中で一番時間を費やしたのは、本を読むことだった。

会社が凡人社に近いので、昼休みには、しょっちゅう立ち読み(あ、もちろんたまには参考書や学習者用のテキスト類も購入しましたよ)をして、何かしらの知識か情報をインプットしていたと思う。それから、「日本語」とタイトルについているような新書や文庫、検定演習科や理論講座で奥澤先生が紹介してくださった本を読んで過ごした。問題集を解くとか、用語を覚えるといった試験対策はそこそこにして、ずっと、読書していた気がする。現実には、検定試験問題と直接関係はないかもしれないけれど、読書をすることは、教わった知識を整理、脳内で構築していくことに役立ったと思う。普段の仕事が文章を扱うことを主としているので、試験Ⅲの記述問題は、最初から試験対策する時間を捨てていた。400字程度なら、なんとかまとめられるだろうと。しかし、記述の問いに対して自身がどういう意見を持ち、説得できるかという点では、この期間に読んだ本が大きく影響を与えたと思う。

「今回から試験の出題形式が変わります」と前から告知され、予想して試験対策をしていたにもかかわらず、当日は、緊張しっぱなし。それなのに、試験問題を解きながらいつものように「ほう、そうきたか~」と出題者につっこみを入れながら、マークシートを埋めていった。達成感ゼロ。試験が終わると、隣の席の方と顔を見合わせ「来年は、お会いしませんように。」と笑って別れた。

日本語教育能力検定試験の対策勉強は、ここまでやったんだから、絶対大丈夫!というような感覚がない。だから、試験が終わっても不安は残ったし、合格証書をいただいた後でも、自己採点で間違った分野は、まだまだ安定したが解答できそうにない。それでも日本語に関して、「これは、どうしてなんだろう」という疑問を持つ、これからまだまだ知識を吸収する…、いろいろな経験ができそうだ。楽しみである。

最後になりましたが、アークアカデミーの先生方、スタッフの皆さま、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

大西 麻里子さん

日本語教育能力検定試験
第25回 平成23年度 合格