私の合格体験記~日本語教育の幅広さと奥深さにふれて~(小林 幹男)

2013/04/01

昨年3月に定年退職し、4月からアークの養成講座に通いました。長年、中学の社会科教師として教壇に立っていたので、新しいことを学ぶということはとても新鮮でした。学ぶ立場から、自らの授業実践を振り返ると、反省することが多々あります。養成講座では、文型提示するのになぜ、その文型を学ぶのかという話題・場面設定に徹底してこだわりました。養成講座の初級、中級、教室活動などでそうした実践的な視点が鍛えられたことは検定試験対策として大変有効でした。教師現役時代、そこにこそ、もっとこだわるべきでした。

検定試験の出題範囲は多岐にわたり、何か一つにまとめ上げるのは至難の技です。あえて、ノートはつくらず、総まとめ的なノート代わりに、「日本語能力検定試験完全攻略ガイド」(ヒューマンアカデミー)を使いました。最初一読し、問題集をやったり理論書を読んで大切なことをこの本に書き加え、何度も読み直し総まとめのノート代わりにしました。

検定演習科の受講は、受験勉強の大きな節目となり、原動力となりました。苦手な聴解では池田先生の講義が理解の助けとなりました。耳で聞くテストですから、いくら本を読んでも納得できないことがあります。池田先生の講義では質問したり、個人的に聞いたりしましたが、初心者にもわかるように丁寧に教えていただきました。教授法も本で読んでも流れやポイントがなかなかすっきり整理されません。山口先生の教授法の講義は流れやポイントを整理する上でとても役に立ちました。先生が実際にお会いになった高名な学者のエピソードを交えてお話しされるのはとても臨場感がありました。教授法の歴史的変遷をまとめたオリジナルなプリントも参考になりました。海外・国内の日本語教育・学習者の状況、日本の言語政策、国際的な視野から見る日本語教育の現状などについても、ホットな情報として授業の中で提示され、試験Ⅲに大変役立ちました。

過去問題集、対策問題集が受験の中心でした。2008~2010年のシリーズは2回、平成21年度から24年度まで過去問は3回やりました。できなかったところ、あやふやなところは総合対策にもどり、読み直しました。手帳のような小さなノートを用意して、間違えたところ、定着できなかったポイントをどんどん書き足していきました。電車に乗ったりする、ちょっとした時間にそのノートを何回も見直しました。

その他、検定演習科で紹介されたものを含め、多くの本を読みました。特に参考になった本を紹介しておきます。まず、日本語教育一般。「日本語教育を学ぶ(第二版」(三修社、遠藤織枝・編)。「日本語学入門」(研究社、近藤安月子著)。文法関係では、「日本語文法の謎を解く」(ちくま新書・金谷武洋著)。10月に入って、検定演習科の講義で須田先生が「文法の苦手な人はこれをやるとよいですよ」と紹介された「考えて解いて学ぶ日本語教育の文法」(スリーエーネットワーク・原沢伊都夫著)。同じ著者の「日本人のための日本語文法入門」(講談社現代新書)も合わせて読みました。直前の文法のまとめとして、実践的な対策としてとても役に立ちました。第二言語習得理論に関しては、「外国語学習の科学」(岩波新書・白井恭弘著)、「日本語を教えるための第二言語学習習得論入門」(くろしお出版、大関浩美著)が参考になりました。

試験本番では、試験Ⅰ、試験Ⅲは難問もありましたが、自分なりには力が発揮できたのではないかと思いました。試験Ⅱ聴解で失敗して、不合格だろうと思っていたので、検定合格に喜びもひとしおでした。アクセントの問題は最後まで不完全でした。聴解問題の本番では、前の問題にこだわって気持ちがひきづられ、集中できませんでした。アクセント問題は、できなくても、割り切って次の問題に気持ちを切り替える必要があります。聴解については本番の時間制限と緊張感を持って問題練習をした方がよいと思いました。

1月から、ある日本語学校で非常勤講師として教壇に立つことになりました。現場で授業をすることになって、あらためて日本語教育の奥深さにたじろいでいます。検定試験に合格したという結果もうれしかったのですが、合格めざして数ヶ月、日本語教育に取り組んだ過程のほうがずっと大切だと思います。ベテランの先生方の指導と、若いアジアの留学生たちの積極性と素直さに支えられ、刺激ある第二の人生のスタートラインに立ったところです。アークの先生方、スタッフのみなさん、ともに学んだクラスのみなさん、本当にありがとうございました。

小林 幹男さん

日本語教育能力検定試験
第27回 平成25年度 合格