「楽しかった」 「ありがとう」 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

「楽しかった」 「ありがとう」と、笑顔で言ってもらえたときが一番幸せ

2014/11/20

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与五沢 弘美さん

日本語教師養成講座
1998年卒業
アークアカデミー日本語学校
日本語科専任教師


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勉強が辛かったという記憶はないですね。

私は、銀行員を続けながら夜の講座に通っていました。仕事帰りで疲れてはいましたが、授業中に居眠りしてしまうようなこともありませんでした。大学での講義のように退屈なものとは違って、実用的な授業内容でしたし、面白かったですから。420時間課程、検定演習科、そして検定合格と、1年半で卒業しました。

卒業した直後からずっとアーク勤務です。採用研修が終わってすぐ、ARCソウル校に赴任し、3ヶ月のビジネス日本語クラスを受け持ちました。その後、渋谷校に移り、現在は、留学生に日本語を教えています。時には、生活指導を担当することもあります。「指導」 という言葉を使うと、なんだか偉そうな雰囲気になってしまいますね。やわらかく申しますと、生徒さんが日本での生活に困らないよう、そしてなにより集中して勉強に取り組んでいただけるよう、お手伝いするお仕事です。日本語はもちろん、それ以外の様々な面からもサポートします。

生徒さんの年齢層は20代前半が多いのですが、中には私より年上の方もいらっしゃいます。それぞれ境遇の異なる方々が、いろんな想いを抱いて日本に留学されているわけです。そんな生徒さんが、悩んだり道に迷ってしまったとき、日本での生活が少しでも有意義になるよう、一緒になって悩んで迷って、答えを探します。夢をかなえるお手伝いをしているという感触が、毎日のやりとりを通じてダイレクトに伝わってきます。生活指導というお仕事の醍醐味ですね。それでも、まだまだ人生経験の浅い私ですから、なかなか難しくて、毎日が試行錯誤の連続です。

  • でも、やっぱり教壇で日本語を教えるのが一番楽しいですね。授業中も、本気で笑っていますし、本気でびっくりすることが多いです。例えば 「いらいらする」 という言葉を教えていると、韓国やアメリカの方は、すぐに理解してくださいます。ですが、スリランカやタイの方には、そもそも 「いらいらする」 という日本人の感覚が理解しにくいのです。この時は、どう説明してよいやら、ほとほと参りました。日本にいながら異文化に接している驚きと楽しさはありますが、同時に、さまざまな文化の方に日本語を教えてゆく難しさもありますね。

    生徒さんから 「楽しかった」 「ありがとう」 と笑顔で言ってもらえたときが一番幸せです。日本語が上達して満足そうな顔、カルチャーショックから立ち直って輝きを取り戻した顔、おぼろげだった将来のビジョンが見えてきて自信に満ちあふれた顔・・・。その笑顔ひとつで、授業の準備が大変なことなんてすっかり忘れてしまいますし、次も頑張ろうと力がみなぎってきます。