日本語教師の日常エッセイ「チリもつもれば」No.34 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.34 さて問題です!

2016/08/05

突然ですが、問題です。私は以前、ある公募エッセイで『1年分の卵』をもらったことがあります。この賞品は、どんな方法で受け取ったでしょうか―ちなみに、「卵1年分もらった」は実話である。この質問を、授業の気分転換に聞いてみたのだ。『卵1年分』というインパクトもあり、学生たちは予想以上に頭を回転させて、答えを導き出そうとしていた。


出てきた答えは、「卵の券をもらって、スーパーで卵をもらう」「一回に365個送ってくる」など。どれも正解ではなかったが、大切なのは自分で考えること。かくいう私も、封書で『副賞:卵1年分』という通知を受けたとき、「どうやって1年分も?」と頭がフル回転した。しばらくして、その方法を知らせる通知が来たが、あれこれ想像するのは実に楽しかった。予想できないことを考えるのは、頭にいい刺激をくれるのだ。 


もうずいぶん前のことになるが、テレビの情報番組で、今どきの大学講義事情という特集をやっていた。学生が授業に集中せず、スマホあり居眠りあり私語ありという状況の中、教授たちも四苦八苦しているという内容だった。その中で成功例として紹介されていたのが、某大学の教授が行っている「クイズ形式で講義を進める」というもの。私の記憶では「取り入れる」というよりも、講義全体がクイズ形式で進められていたように思う。次々に出される質問を夢中で追いかけているうちに、講義の時間が終わってしまうということらしい。昨今のクイズ番組ブームを生かしたのだろうが、大学の講義もずいぶん様変わりしたものだ。


ところで、このクイズ形式。確かに、注意を引きつける効果はある。学生たちが集中力を失い私語が聞こえ始めてきたとき、その日の授業内容に無理やり続けて、問題にもっていく。もちろん「こじつけ」もあり。テストは緊張するが、クイズなら気が楽。学生の表情も明るくなるのだ。

 

ちなみに、『卵1年分』の答えは―毎月1回『05日(たまごの日)』に全国の養鶏農家から新鮮な卵が30個ずつ送られてきた。北海道から九州まで、どの産地からかは「届いてからのお楽しみ」。せっかくの産地直送、できるだけ新鮮なうちにいただかなければと、毎月届いてすぐに姉におすそ分けして、とても喜ばれたものだ。もう6年ほど前の話だが、今でも私の小さな「持ちネタ」として、その賞味期限は切れてはいない。

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