No.45 教師は踊る

2017/01/25

一年で最も寒い季節を迎えた。だが、学校ではすでに春を見据えている。新年早々から、3月の卒業式に向けた「極秘プロジェクト」が始まった。卒業式で流す「ビデオレター」の制作である。毎年なんらかのテーマが設けられ、講師が数名のグループに分かれ数秒ずつ撮影。それが編集され、一つの作品として会場で上映されるわけだ。ある時はダンス、ある時はミニコント風もありだ。いずれにしても、作品としての完成度が高く、見事にマッチしたBGMとともに感動の涙を誘ったりもする。


まだ現段階では詳しいことは言えないが、今年の準備も着々といったところだ。昨年までで印象に残っているものは何かと思い返してみると、例えば、ドラマで話題を呼んだ『マル・マル・モリ・モリ!』。このときは、割り当てられたパートがごく簡単で、撮影も難なくクリアできた。運動神経にコンプレックスありの私は、心からホッとしたものである。


一方、非常に苦労したのは『レーザービーム』の冒頭部分。もちろんPerfumeの音楽はたびたび耳にしていたが、こんなアップテンポな曲に合わせて自分が踊る日が来る、などとは想像もしなかった。今まで無縁の世界に、図らずも足を踏み入れたときの違和感と挫折感…。撮影前の数日間こっそり家で練習はしたものの、本番ではほとんど発揮できず、たった数秒がとても長く感じたほどだ。今でもこの曲を聴くと、なんだか妙な感覚にとらわれる。体が自然に動く、なんてことは全くないが。


ダンスで思い出すことがある。小学生の頃だ。学校でフォークダンスの練習をしていたときのこと。そう難しくないダンスだったはずなのだが、「何人か、動きが揃っていない」ということになり、先生の「プチ特訓」が始まった。不本意にも私もその中に入ってしまったのだが、原因はすぐわかった。なんと、一歩目に踏み出す足が逆だったのである。


こうして運動への苦手意識を強めたまま、今に至っている。もちろん「年齢」の一言で片づけるつもりはない。数年前にも、同年代の友人からの年賀状に「娘と一緒にヒップホップを始めました」というメッセージとともに、心地よさそうに汗をかく写真が。もともと運動神経に違いはあるが、新しいものへのチャレンジ精神をまぶしく感じた。一方、私はといえば、数日後に控えた撮影が無事終わることだけを祈っている。


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