No. 79 「いぬ」と「けん」 | 日本語教師目指すなら日本語教師養成講座、日本語教育能力検定試験対策のアークアカデミー

No. 79 「いぬ」と「けん」

2018/06/04

「秋田犬」が話題になっている。今年2月の平昌オリンピックで金メダルを獲得したロシアのザギトワ選手のもとに、かねてから約束されていた「マサル」がついに届けられ、対面を果たしたからである。何かと嫌なニュースが多い昨今、貴重なほのぼのニュースであったが、犬の「マサル」という名前にも注目が集まった。金メダリストらしく、「勝利」「勝る」から「マサル」と名付けると発表。だが、彼女が希望した犬はメスで、マサルは日本で男性につける名前と聞き、「それなら他の名前を考える」と言ったとか(言わなかったとか)いう報道もあったが、結局は当初の名前に落ち着いたようだ。


日本人の名前だけを聞いて男か女かを判断するのは、外国人にとっては難しい問題だ。「最後に『子』がついたら女性の名前」くらいのことは知っている人もいるだろうが、昔に比べてバリエーションが急増し、自由化している。男女の区別も時代とともに変わっていくかもしれない。とにかく、「マサル」は国際親善犬「MASARU」として、元気にロシアで暮らしてほしいものだ。


ところで、今回のニュースを含め、最近のテレビでは「秋田犬」を「あきたいぬ」と読んでいる。少なくとも、私が耳にしたものは全て「あきたいぬ」である。が、私自身は今まで当然のように「あきたけん」と読んでいた。忠犬ハチ公のことも「あきたけん」のハチ公として認識していたし、実際に巷でも「あきたけん」のほうが多数派だった気がする。もし間違っていたら日本語教師として恥ずかしい、と検索してみると、地元の秋田では「あきたいぬ」が伝統的に使われているとのこと。しかし、「あきたけん」と読んでも間違いではないらしい。「柴犬」も正式には「しばいぬ」で登録されているが、多数派は「しばけん」で、それでもいいそうだ。「土佐犬」もしかり。犬の呼び方を通して、日本語教師たるもの、言葉には常に敏感でいなければと痛感した。


犬といえば、余談だが、先日電車内で初めて補助犬に遭遇した。凛とした姿とマナーの良さはさすがの一言。連れている方の様子から「盲導犬」ではなさそうだが…と思っていたら、たまたま情報番組で、補助犬には「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」の3種類あることを知った。私が見たのはおそらく「介助犬」だと思う。さらに調べてみると、人間をサポートする犬は、たとえ小さくても「匹」ではなく「頭」と数えることになっているそうだ。知らなかった。奇しくも、犬に癒されつつ、犬から多くを学ぶ今日この頃である。