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No.107 歌声は響く

2019/08/07


久しぶりにカラオケに行った。連日の真夏日・猛暑日で、暑気払いの意味もあったのだが、「ちょっと練習してみたい」という曲があり、果たして今後レパートリーになり得るか否か、さらには「十八番」にできるかどうかを確かめたいと思ったのだ。そう思ったのは、7月期の留学クラスが始まった際の自己紹介で、たまたま学生の歌を聴く機会が続いたからである。


以前にも何度か書いたが、新しい学期が始まり、自分自身が初登板となる授業では、必ず自己紹介の時間を設ける。内容はクラスのレベルによって変えることもあるが、基本的には名前、出身地、趣味などだ。教師に向けた自己紹介という意味もあるが、クラス自体が「できたて」で、お互いの名前と顔が一致していない場合は、早く馴染んでもらう意味もある。


さて、あるクラスでのこと。予定通り自己紹介を進めていくと、一人の男子学生が「僕の趣味はエンカです」と言う。アニメやゲームという答えが続く中で、異彩を放つ言葉である。思わず「エンカって、オジサンやオバサンの?」と聞いてみた。何年も前に「日本の昭和歌謡が好きです」と自己紹介した中国の男子学生がいたが、久々に現れた逸材の予感である。


そして、他の学生の「歌って!」の一声で、本人がスマホを検索し、歌詞の確認を始めた。完全に歌う気満々である。今さら「また次の機会に」とも言えない。まだ自己紹介もクラスの半分程度だったため、とりあえず先に進み、最後に歌ってもらうことにした。彼のステージが始まり、『北国の春』が教室に響き渡る。留学生の歌う演歌は、妙に心に沁みるものである。さらに、数日後、別のクラスでの自己紹介では以前、仕事として歌を歌っていたという強者が登場。学生たちから「聞きたい!」というリクエストがあって、宇多田ヒカルの『First Love』のサビ部分をみんなの前で熱唱してくれた。さすがプロの歌声。私も一観客として聞き入った。


このように「初めまして」の歌もあれば、「さようなら」の歌もある。前回も書いた夏の訪日後研修で、私の最終登板の日。授業の最後に「今日で私の授業は終わりです。皆さん、これからも元気で頑張ってください」と挨拶したところ、研修生から「私たちからのプレゼント、歌を歌います」という流れになった。こうして21名による『栄光の架け橋』がスタート。が、なかなか「さようなら」にならない。けっこう長いのである。歌詞カードを手に1番は元気に始まったものの、2番の最後は半ば息も絶え絶え、で終了。感動の中にも笑いのある歌声であった。


実は、私が久しぶりのカラオケで練習したのは『月亮代表我的心』。テレサ・テンの名曲だ。果たして、いつか披露する日は来るのか…はともかく「十八番」にすべく精進したい。