海外通信パラグアイ編第3号 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

第3号 パラグアイ共和国の紹介

2011/05/23

  • 男・日本語教師 パラグアイで『(いき) 』る! 第3号
    ~パラグアイ共和国の紹介~
     

    さて、ちょっと違った第2号をはさんでの第3号です。

    そもそもパラグアイという国にまだまだ馴染みがない方が多いと思いますので、第3号では簡単にご説明していきます。パラグアイは南アメリカ大陸の中央の少し南に位置し、「南米のへそ」などと言われています。東はブラジル、北はボリビア、南はアルゼンチンに接しています。残念ながら、兄弟のように聞こえるウルグアイには接していませんのでご注意を。日本との時差は通常はパラグアイが日本より「13時間遅い」のですが、サマータイムになると12時間に縮まります。

    首都はアスンシオンで、国の人口はおよそ635万人です。国土は日本よりほんの少し大きい406,7502km2(日本の約1.1倍)です。そのパラグアイの国土は大きく西部と東部に分けられますが、西部はチャコ地方と呼ばれ、その土地の65%は森のままで、人は全人口の3%しか住んでいません。97%の人は東部に居住しています。

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    元々、パラグアイの土地にはグアラニー人をはじめとするインディヘナ(インディオ)諸集団が暮らしていましたが、16世紀初頭にスペインに支配され、植民地となります。その後、1811年に共和国として独立を宣言し、今年2011年で建国200年となります。その建国200周年をこちらではBICENTENARIO(ビセンテナリオ)と言い、今年はあちらこちらで200周年記念祭典が開催されています。

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    また、パラグアイは世界で数少ない表と裏の柄が違う国旗を持っている国です。そして、もっと刺激的なのはパラグアイ国歌です。タイトルは「パラグアイ人達よ、共和国か死か」です。前奏がとても長いです。ちなみに7番まであります。

    宗教はほとんどがカトリック教徒です。毎週日曜日になると教会にミサをしに行く方が多いです。日系人も多くの人がカトリック教徒です。

    産業は農業、牧畜業が主だったものです。特に、農業に関しては「大豆」が目玉商品で、現在、大豆輸出は世界第4位にまでなっています。これには日系人の活躍が大きく影響しています。また、電力に関しては水力発電が主で、ブラジルとの共同開発「イタイプダム」とアルゼンチンとの共同開発「ジャスレタダム」の2大ダムでほとんどの電力が賄われており、パラグアイ内では余るほどなので、電気を隣国に売っているほどです。

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  • パラグアイの市川先生

    市川 伴武 先生
    パラグアイ ピラポ市
    (JICA派遣)

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    通貨単位はグアラニー(Gs)です。あまりなじみがない通貨単位だと思いますが、このグアラニー、とても価値が低いです。1グアラニーはおよそ0.02円です。実際、1グアラニーという硬貨はありません。一番小額の硬貨で50グアラニーです。実質1000グアラニー硬貨(日本円で20円程度)くらいから、通貨価値があると言っていいでしょう。そして、本来1000Gsである場合、1000Gs=ミルグアラニーエス(1000=ミル、グアラニーエス=グアラニーの複数形)と発音しなければならないのですが、日系社会のスーパーなどでは日本語と混合し、なおかつ言いやすいように訛って、さらに日本語の特徴の一つである「略語」にして、1000Gs=せんガラ(せん=千、ガラ=グアラニーエスの訛り&略語)となります。客観的にというか、純粋パラグアイ人から見たらきっとすごく無理があるのですが、その言葉を何の不自然さもなく、自分も使っていることに「日本の血」を感じました。(笑)

    次にその言葉ですが、公用語はスペイン語とグアラニー語の二つで、グアラニー語のほうが話せる人が多いほどです。ですので、私たちは派遣前に日本でスペイン語を勉強しますが、いざこちらでパラグアイ人と話してみると、スペイン語とグアラニー語を混ぜて話す(その混合語をジョパラと言う)ので、ちんぷんかんぷんなのです。田舎の方に行けば行くほどグアラニー語が強くなるようです。西部のチャコ地方ではまた違った言葉を話す民族もいるようで、なかなか一筋縄ではいきません。私が勤務する日系人の多いピラポ市は高知県や岩手県からの移住者が多いために、そちらの方言も混ざってきます。それをここの日系の皆さんはピラポ語と冗談で言ったりしています。そんなピラポ語の一例を下に示します。

    ●状況:居酒屋に着いた二人が他の人を待ちながら、話しています。
      ピラポ語 日本語訳(標準語訳)
    A: 「¿Que tal?(スペイン語)」 調子どうよ?
    B: 「カイグエ(グアラニー語)」 全然ダメ。
    A: 「今日、誰が来るか知っちゅう?(高知弁)」 今日、誰が来るか知ってる?
    B: 「No sé~(スペイン語)」 知らな~い。

    ・・・という感じになります。職業病なのかもしれませんが、こういう言葉のやり取りをとても興味深く聞いてしまいます。

    以上、簡単にパラグアイの概要を説明しました。その他、食べ物のことや文化のことについては追って書いていきます。乞うご期待!!

     

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