海外通信パラグアイ編第8号 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

第8号 ピラポ日本語学校付属幼稚園 子どもの可能性ってすごい

2012/01/20

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市川 伴武 先生
パラグアイ ピラポ市
(JICA派遣)

男・日本語教師 パラグアイで『(いき) 』る! 第8号
~ピラポ日本語学校付属幼稚園 子どもの可能性ってすごい~
 

ンバエシャパ?(パラグアイ原住民の言語グアラニー語で「調子どう?」)です。日本人の私がこの言葉で声をかけると、パラグアイ人は本当に喜んでくれます。そして、意外と「ン」から始まる言葉は、日本語以外にはありますね。しりとりのルールが通用しなそうです。笑

前号では、ピラポ日本語学校の概要をお伝えしましたが、ピラポ日本語学校には付属のピラポ幼稚園があります。年少の3歳から年長の5歳までの3年保育です。ピラポ日本語学校に入学するためには、原則として最低でも1年は付属の幼稚園に通う必要があります。現在、1クラス15名ほどで約45名の園児がいます。教師は各クラスに担任の先生がいて、補助の先生が私を入れて3人、合計6人です。

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無邪気なピラポの子どもたち

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体を使って言葉を覚えています

私自身は幼児教育の経験はほとんどありません。日本の幼稚園や保育園事情をあまり知らずにこのピラポ幼稚園でお手伝いをし始めたのですが、正直びっくりしました。何がびっくりしたかと言うと、園児がすることのレベルの高さです。私は保育園出身のせいか、集団で何かをしたり、勉強したりという記憶はあまりありません。しかし、このピラポ幼稚園はすごかったです。朝のみんなで集まってからする30分がすごかったです。みんなきれいに整列し、前には年中&年長のクラスから2人ずつ「お当番さん」が立っています。先生やお当番さんの動きを見ながら、手遊びをしたり、リトミックをしたり、歌を歌ったり・・・。しかも歌を歌うときは姿勢を正して、手を全員が後ろで組む。正直、最初はここまでやるか、いや、やらせるべきなのかなどと、保育園出身で大人を対象に教えていた日本語教師の私は思ってしまいました・・・。しかし、結局できてしまうんです、子どもたちは。教育って、すごいです。毎日3歳~5歳の子どもたちが30分、姿勢を正して、楽しく歌ったり踊ったりできるんです。3歳の子どもたちも最初こそ、わがまま放題ですが、半年もすれば、ほとんどの子どもが当然のように、それらの朝のプログラムをこなしていくのですから。

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朝の体操元気よく!

現在、日本では様々な保育の形があるようです。自由保育とかという言葉もよく聞きます。私もどちらかと言うと、子どもはいい意味で放って、遊ばせておけばいいんじゃないかという考えでしたが、このピラポでいろいろと考えさせられました。英才教育とまではいかないですが、しっかりと躾や怒られる経験をすること。様々なことを経験することで日々、子どもの可能性の広がりを感じること。今の日本の主流の保育はどういった形なんでしょうか。

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手をつないで並んで移動☆

ここまでの文を読むと、ピラポ幼稚園はすごく規律正しく、子どもがキビキビと動いているような固い印象を持つかもしれませんが、そんなことはありません。やっぱり子どもは子ども。外で遊ぶのが大好きなやんちゃでかわいらしい子どもばかりです。ちゃんと自由な外遊びの時間もたっぷりあります。ひいき目で見ているかもしれませんが、他の移住地の子どもと比べて、特にピラポの子どもは純粋だなあと感じます。笑

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前ならえ!は毎日のこと

年少クラスはまずは先生の言うことに反応して、動けるように。集団社会のスタートです。その他簡単な言葉などをみんなで覚えていきます。年中クラスから徐々にひらがなを学習します。年長クラスはひらがなを50音表に沿って書けるように指導しています。他にも工作や折り紙、集団遊びや運動会のお遊戯の練習、卒園式のためのお遊戯や劇、歌の練習など多種多様な活動をしています。私は年長クラスでゲームをしたり、リズムや歌に合わせて語彙を覚えていく活動を主に担当してきました。

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年少クラスはハグをしてから、外遊びへ!

この下地がしっかりしているから、ピラポ日本語学校は根強く日本語が残っていると言えます。本当に一度みなさんにご覧いただきたいくらいです。ここがパラグアイと言うことを、本当に忘れます。でも、彼らは日本語の幼稚園に午前中来て、午後はスペイン語学校の幼稚園へ行くのです。なんと、忙しいこと!親御さんも送り迎え大変ですね!

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年少クラスは数字のお勉強

日本顔負けの子どもたちの様子、写真で少しでも感じていただけたらと思います。

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ひらがなを覚えた年長クラス

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砂場は子どもたちに大人気!

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鉄棒も得意です!

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卒園式の様子

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お着替えタスク@年長クラス