日本語教師の日常エッセイ「チリもつもれば」No.37 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.37 つながる

2016/09/26

去る9月10日の土曜日、アークアカデミー創立30周年を記念した文化祭が開催された。台風の心配もなく、まさに文化祭日和の一日。この日のために各クラスで出し物を決め、担任の先生がサポートしながら準備を進めてきた成果披露の日でもあった。テーマは「つながる」。人と人、国と国、時と時―さまざまな思いが込められた、とても深い言葉である。

クラス数が多いため、2時間半ずつの3部構成で実施されたのだが、私は9時半からの部を覗いてみることにした。午前の客足が気になったという表向きの理由もあるが、他にも大きな理由があった。私が担当しているクラスの一つが、ベトナムの麺料理「ブンチャー」を作ると聞いたのである。これは逃すわけにはいかない。実は、私は大のブンチャー好きで、ハノイで暮らしていたときから、フォーより断然ブンチャー派であった。「店長」を務める男子学生の表情には、自信がみなぎっている。

そして「たぶん人気があるから、先生も予約してください」との言葉。しかも、早めじゃないと確約はできないと言う。そんなわけで、10時に予約していざ文化祭へ。最上階の「レストラン街」に直行すると、既にブンチャー屋は大賑わいだったが、10時の予約はしっかり効力を発揮し、無事に念願のブンチャーを食べることができた。貼られていた写真とは明らかに別モノではあったが、期待にしっかり応えてくれる美味だった。

もちろん、他のクラスも盛り上がっていた。各国のゲーム体験や、アイディアを凝らした各種カフェなど「満員御礼」が続々。その中で「歌声喫茶」が気になって覗いてみると、テレビで音楽のDVDを流しながら、学生たちが歌を歌ったり踊ったりという趣向。私が行ったときには、懐かしの曲『恋のマカレナ』を、スペイン人留学生指導の下、みんなで踊るという時間。約20年前によく聴いた名曲との思わぬ再会となった。

また、ビジネスクラスは日頃の成果をプレゼンテーションで披露。どんな感じかと覗いてみると、こちらも予想をはるかに上回る大盛況で、立ち見も多数。外部からのお客様を前に、随所でしっかり笑いも取っていた。どのクラスにも共通していたのは、みんなの笑顔。卒業生の顔もあった。まさに、さまざまな思いがつながった一日。この文化祭で味わった達成感は、学生たちのこれからにとって大きな自信になるだろう。

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