No.71 いい予感 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.71 いい予感

2018/02/14

年明けから、何だかいい予感がした。「何が?」と聞かれても答えに困るが、妙にスッキリした気分で新年を迎えられたのは確かである。そんな1月上旬、留学クラスの担当者会議後に開かれた懇親会でのこと。突如、ジャンケン大会が始まった。正直、ジャンケン大会で優勝したことなどなく、ただ勘にまかせて出していたら、なんとトントントンと勝ってしまったから驚いた。


新年早々の「いい予感」は本物かもしれない。そこで自信をつけた私は、次なるチャレンジを試みた。あの上野動物園の人気モノ、シンシン&シャンシャン母子の観覧である。2月からは観覧が先着順になるという話も出ていたが、ここはあえて運試しで「抽選」に挑んでみたい。12月に観覧がスタートした当時は休日には最高144倍とも言われた倍率。私が狙っているのは1月下旬の金曜日だったが、それでもかなりの倍率が見込まれる。しかも、「原則一人一回」の応募ということで、申し込み完了までスマホを持つ手も震えた。


結果を待つこと約10日。なんと、幸運にも「当選」をゲット。無事にシャンシャンとの「初対面」を果たすことができた。午前11時45分。少し眠そうかな、という印象ではあったが、目の前で動いているシャンシャンは、「カワイイ」以外の言葉が見つからない。目の中に入れたいほどだ。


お母さんのシンシンは、3年ほど前に会いに行ったことがある。その時はまだ「レディ」だったが、今や「おっかさん」の風格をまとっている。ポリポリとわき腹をかく仕草など、「中に人間が入っているのではないか」とネットで噂のユーモラスな動きも堪能できた。「1、2分」と言われていた観覧時間は、実際には少しずつ場所をずらしながら8分ほど。夢心地であった。


さて、日本のパンダ人気。世界唯一の野生パンダ生息地である中国の留学生たちも、さぞ誇らしく喜んでいるかと思いきや、彼らの反応は実にクールだ。 「パンダなら、中国に行けばたくさんいますよ」などと言う。反応と言えば、「日本語では『香』は『シャン』と読まないのに、どうしてこの漢字で『シャンシャン』なんですか」と質問してきた中国の学生がいたくらいである。


実は「赤ちゃんパンダの名前募集」の際、私も意気込んで応募した。だが、最終選考にも残れず惨敗。それにしても、さすが32万件の応募から選ばれただけあって、実にいい名前である。目の前の愛らしい姿に、思わず「シャンシャーン!」とその名を呼びながら、悔しいけれど心からそう思った。