No. 90 おつかれさん | 日本語教師養成講座のアークアカデミー
    TOP » etc » No. 90 おつかれさん

No. 90 おつかれさん

2018/11/19

「秋バテ」という言葉を、テレビ番組で耳にした。文字通り「夏の疲れや生活習慣を秋まで引きずり体調を崩す」ことを意味するようだが、今年は特に秋バテの人が多かったのではないだろうか。たしかに9月に入ったあたりから、体調を崩して休みがち、といった学生が増えたように思う。今年の場合は「バテるのを忘れるほど厳しい夏」が、少し落ち着いてきたあたりで一気に疲れが出たということだろう。みんなおつかれさん、である。


人間もさることながら、今年は洋服たちにも疲れが見えているような気がする。夏が終わり、そろそろ休ませてもらえるかと思いきや、なかなかお役御免とはならない。天気予報では急に肌寒くなるとは言うものの、それほど涼しくならないまま、数日後にはまた夏日になるという日々で、6月と10月という衣替えのタイミングが、年々わからなくなってきている。 洋服のバリエーションが豊富な人はともかく、学校の授業に対応できる服装がある程度限られている私の場合、シーズン中に頻繁に登場する洋服は絞られる。できる限り、同じクラスで洋服が重ならないようにはしているが、どうしても「お気に入り」の出番が多くなる。洋服には実に申し訳ない。


ところで、一年を通して、日本語教師の必須アイテムといえば何か。それは、サブバッグである。A4の書類などが入るサイズで、授業のテキストや教材を入れる手頃なバッグだ。以前、プライベートレッスン含め一日3、4レッスン担当していた頃、すべての教材を入れて持ち運んでおり、まさに「酷使」していたことがある。その当時から使用しているものを含めて、現在は4つのサブバッグを使い回しているが、中に「そろそろ疲れたよ」という表情のバッグが一つあり、私としてもそろそろ引退させてやるべきかと悩んでいる。


このバッグ、何がいいかと言えば生成りでシンプルなデザインなのだ。ゆえに、どんな洋服とも合わせやすいが、この「シンプル」が意外とない。ちょくちょく雑貨店でも物色しているが、適当なものが見つからない。そんなある日、本屋で理想のバッグを発見。ある雑誌の付録で、迷わず購入し、さっそく使ってみたのだが、電車の中で「?」ふと違和感を抱いた。帰宅後、雑誌を確認してみると「マナーバッグ」とある。冠婚葬祭用の黒バッグであった。もちろん用途は自由だが、毎日持ち歩くには「黒」が妙に重い。たかがサブバッグ、されどサブバッグ。理想のアイテム探しは、しばらく続きそうだ。