No.124 ステイ・ホーム | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.124 ステイ・ホーム

2020/05/01

外出自粛で変化したことは多い。そして、ふと思う。ほとんど手帳を開かなくなった。手帳を開く理由があるとすれば「今日は何曜日だっけ?」という確認ぐらいのものだ。3月中旬までは、それなりに予定が書き込まれているが、徐々に減っていき、4月に入ると楽しい予定はほぼゼロ、ポツポツと仕事関連の予定が書き込まれているだけだ。プライベートの予定は赤いペン、仕事は青いペンで記入しているので、開けば一目瞭然というわけだ。非常事態宣言が出されている今、それは「自粛できている」という証しなのだ。そう自分を励まし、手帳を閉じた。


とにかく今は「ステイ・ホーム」である。まずは、読書を楽しむ。現在ベストセラーとなっているカミュの『ペスト』をはじめ、読みたかった本を買い込む。読み応えのある作品を読むにはもってこいだ。テレビ好きとしては、見逃したドラマの再放送もありがたい。久しぶりにダンベル体操も始めた。また、この20年ほど、曲名も歌手名もわからぬまま、私の頭の中から消えない洋楽があった。暇にあかして検索し続けた結果「ついに判明!」という収穫もあった。


ところで、私が手帳の「4月」の見開きに青いペンで記したのは、「オンライン授業」に関連する予定である。個人授業などでは、スカイプを利用したレッスンが以前から行われている。しかし、私の場合は何となく苦手意識があり、できる限りそこを避けて今に至ってしまった。そんな中、GW明けから登校による授業が再開されるまで、アプリを使用したオンライン授業が行われることになったのだ。「ついに来たか…」そんな心境であった。幸い、教務主催の練習会が数回行われ、このアナログ人間でも「だいたい」は理解できるようになった。もちろん、初めての授業には心配もあるが、お互いの顔が見られて、声が聞ければ何とかなる…だろう。


実は、その前に、オンライン会議も実施されていた。だが、その時は私のマイクがまったく声を拾ってくれず、話し合いに参加できないという痛恨のミスが。その原因は意外とあっさり判明したが、結局、私はAmazonで手頃なヘッドセットを購入、無事にマイクは機能してくれるようになった。まだ自分のヘッドセット姿には違和感を覚えるが、授業が始まるまでには、私なりにカメラ写りも意識しながら、心の準備をしておかなければならないと思っている。


カメラ写りといえば、気になることがあった。ヘアスタイルである。再度、手帳を見てみる。前回美容院に行ったのは、既に2か月ほど前のこと。電車に乗るのも久しぶりで緊張するが、気分もすっきりさせたい。電車が空いている時間帯を選んで、思い切って足を運んだ。結果、カメラ写りは不明。だが、手帳に書いた赤いペンの「美容院」に、少しだけ心が和んだ。



essay2017001