No.204 雪国のリアル
2026/02/19
前回、雪の話を書いたあと、東京もぐーんと冷え込んで雪が降った。「都心でも積雪の可能性」と繰り返す天気予報に、「またまた、そんな」と半信半疑であったが、予報通りの寒さに。土曜夜から日曜にかけての降雪は、ちょうど「日本大相撲トーナメント」の日だったが、幸い当日の昼過ぎには雪もほとんどやんで、交通機関にほとんど乱れはなく、無事に両国に辿り着くことができた。
会場は11時開場だったが、同僚との待ち合わせは午後にした。席についたときには、既に十両の取り組みは終わり、周囲の留学生たちの興奮が伝わってきた。私たちの席からは土俵だけでなく国技館内の全体が見渡せ、会場の熱気を肌で感じることができる。多くの人が「推し」のタオルを掲げたり、力士の名を呼んだり…まさに老若男女問わず、そして国籍を問わず楽しんでいるのがわかって、「平和だなぁ」と実感できる。これこそ、私がこのイベントに惹かれる一番の理由なのである。
ちなみに、その後は同僚と「ちゃんこ鍋」に。少し予約時間に遅れて店に着くと、女将さん曰く「雪が降っているので、キャンセルのお客様も多いんじゃないかと思っていました」と、安堵の表情で私たちを迎えてくれた。冷え込む空気の中を歩いた後のちゃんこ鍋。言うまでもなく美味だった。
さて、そんな東京の積雪であったが、やはり雪国の冬となると、悠長なことは言っていられない。私の故郷も例年に比べて積雪が多いようで、何度か「証拠写真」が送られてきた。そんな大雪警報が出ている中、担当クラスの学生が大学受験のため雪国に向かった。傍目には観光気分が少しあるように見えたが、東京に戻った彼に感想を尋ねると、「とてもいい所ですが、雪がすごくて、僕には寒すぎました」とのこと。夜行バスで現地に朝早く着き、ホテルのチェックインまで数時間を雪の中で過ごしたと言う。それで体調を崩したとボヤきつつ、「雪を甘く考えていました」という反省の弁も。東南アジア出身の学生にとっては無理もない。身をもって「雪国のリアル」を痛感したはずだ。
話は変わって、朝の授業前に寄っている某カフェでのこと。私がいつも座っているカウンター席からは、レジに並ぶ客がよく見える。ある日、爽やかな声で「おはようございます!」と、自らレジのスタッフに挨拶している客がいた。声の主は、欧米系らしき青年。注文の品を受け取りながら、「ありがとうございます!」とまた一言。「いい光景だなぁ」と感心した翌週、また彼がいた。しかも、その日、彼は「客」ではなく「スタッフ」としてカウンターの中にいたのだ。とっさに私の頭の中で「!」と「?」が交錯した。流暢かつ丁寧な日本語で接客をする彼は、その日がバイト初日のようで、先輩たちがやさしくアドバイスしていた。近年、日本で就職したいという留学生が増えている。もしや、彼もその一人なのか。勝手ながら、親戚のおばちゃんの目で見守っている私なのであった。





