No.166 上野でバッタリ! | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.166 上野でバッタリ!

2022/12/13

11月下旬、心地よい晴天に恵まれた金曜日の朝。JR上野駅の公園口改札を抜けてすぐの広場で、何だか楽しそうなグループが記念撮影をしていた。見ると、けっこうな人数の外国人だ。「みんな嬉しそうだな」「どこかの日本語学校の学生かな」などと思いながら横を通り過ぎようとすると、そこには引率の先生らしき日本人の姿が。驚いたことに、その団体は、我がARC東京日本語学校の5組、2クラス合同の校外学習であった。これは、なかなかのタイミングでの遭遇である。

 

5組の学生たちとは面識がないため、とりあえず撮影が終わるのを待って、引率の2人に声をかける。当然ながら、一瞬「なぜ、あなたがここに?」といった驚きの表情だったが、すぐに「あー、パンダ!」と納得されてしまった。さすがに毎週というわけにはいかないが、特別な用事がない金曜日には、動物園を訪れて、のんびりとした時間を過ごすことにしている。一番の目的は、たしかにシャンシャンなのだが、その他にもハシビロコウ、ホッキョクグマ、ゾウなどにも「ごあいさつ」。一時期は休園となり、その後は抽選による入場制限などもあったが、今は制限なし。園内は、修学旅行生、保育園児、家族連れ、外国人観光客などで賑わっている。それを実感するのも楽しみなのだ。

 

それにしても、駅前で記念撮影をしていた学生たちの笑顔を見て、何だかこちらまで嬉しくなった。校外学習の行先は、上野の国立科学博物館、スカイツリー周辺など、クラスによって異なるが、校外学習が実現したというだけで、大きな意味がある。遠出はまだ無理だけれど、いつもの教室を出て、みんな一緒に日本文化や街の空気に触れた時間は、きっといい思い出になったことだろう。

 


さて、今年も師走。現在、私が担当しているクラスの学生たちは、今年の春以降に来日した学生がほとんどであり、「初めて日本で迎える年末年始」を待っている。先日、あるクラスで学生たちにどんなプランがあるか聞いてみたところ、「友だちと温泉に行きたい」「北海道に雪を見に行く」「タイに遊びに行く」、さらに「彼の友だちがオーストラリアから日本へ来るので、彼と大阪まで会いに行く」などなど。中には、「初めてのクッキー作りに挑戦したい」という可愛いものもあった。

 

一方、進学を控えているものの、まだ進路が決まっていない学生は「家で勉強したり、書類の準備をしたりする」とのこと。ただ、そう語る表情に暗さはなく、「合格したら、いっぱい楽しいことをする」と笑った。とにかく、それぞれの年末年始が充実したものになることを祈りたい。

 

東京は12月に入って、一気に寒くなった。教室のエアコンも頑張ってくれているが、「寒いです~」という学生たちの声があちこちで聞こえる。まあ、これも教室での対面授業ならでは。「はいはい、ちょっと待って」と、エアコンのパネルを操作しながら、ふと笑みがこぼれてしまうのだった。