No.165 ニッポンふしぎ発見 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.165 ニッポンふしぎ発見

2022/11/15

テレビの情報番組で、海外からの観光客に街角でインタビューしている様子をよく目にする。「ずっと日本に来たくて、やっと夢が叶ったわ!」「ハネムーンに来ました」と笑顔で答えている姿を見ると、感慨深いものがある。一人ひとりの手をとり、「日本へようこそ」と言いたいほどだ。

にぎわいの戻った学校は、10月期が始まって1か月ほど過ぎた。今期私が担当しているのは4クラスで、うち2クラスは「初めまして」の面々である。欧米やアジア、学生の国籍もさまざま。授業での「みなさんの国ではどう?」という質問にも、思いがけない答えが返ってくるのが新鮮だ。

一方、4月期から担当しているクラスには、ベトナム、中国、ミャンマー、タイ、マレーシアといった、アジア各国からの個性的な留学生たちが集まっていて、それはそれで面白い。4月に来日したばかりの頃は、「先生たちの話が全然聞き取れなかった」という学生たちも、半年が経ち、徐々にそれもクリアして、自信をつけてきたのがよくわかる。今後もさらなる成長を見守りたい。

さて、そのクラスでは先日、授業の活動として『街で見つけたおもしろいもの』という発表が行われた。日本の生活で気になったものを写真に撮ったり、ネットから探したりして、それについて紹介するというものである。私は発表準備の日の担当だったが、「目の不自由な人のための音楽付き信号機」「カートに乗せられてお出かけする園児たち」など、目のつけどころは十人十色。中には「缶飲料の引き金部分にある『点字』」という、私が見落としていたものに着目した学生もいる。

また、ある学生は、道でベビーカーを押している女性を追い越したとき、乗っているのが赤ちゃんではなく「洋服を着た犬」と知って驚いた。自分の国ではベビーカーに乗っている犬を見たことがない、と興奮気味に話す。彼女は、それを見るまでは「家賃5万円ちょっとのアパートの郵便受けに入っている3億円マンションのちらし」を取り上げようと思っていたという。それも面白そうだ。

さらに、「なるほど!」と思ったのは、ある学生が気になっているという「コンビニの男性雑誌」だ。彼女が撮った雑誌コーナーの写真には、過激そうな雑誌が棚にずらりと並んでいる。実は、彼女はコンビニでアルバイトをしており、そういう雑誌を「子どもも利用する場所」で売っていることに、とても驚いたのだという。そして、「けっこう買う人がいますよ」と微妙な笑顔を浮かべた。

コンビニといえば、先日、我が家の隣のコンビニに寄ったときのこと。その店ではいつも何人か留学生らしきアルバイトが働いているが、そのときは珍しくレジに男性が一人だけ。名札を見ると、ベトナム人のようだ。客もたまたま私一人だけだったので、お金を払うときに少しおしゃべりした。彼は日本に来て、いったいどんなことに驚いたのだろうか。店を出てから、ふと気になった。