【卒業生インタビュー/海外勤務】カメルーンの日本語学校から(5)珍問答・禅問答 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

【卒業生インタビュー/海外勤務】カメルーンの日本語学校から(5)珍問答・禅問答

2026/04/22

玉井 真理子さん
日本語教師養成講座 2023年1月卒業

「カメルーンの日本語学校から~はじめての一時帰国その後~」第4回の内容はこちら

「カメルーンの日本語学校から~半年を生き延びて~」第3回の内容はこちら

「カメルーン便り 続編~あこがれのアフリカから②~」第2回の内容はこちら

「カメルーン便り~あこがれのアフリカから~」第1回の内容はこちら

私が今住んでいるのは、アフリカのカメルーンという国の首都ヤウンデです。人口は300万人くらいと言われています。高齢者だらけの日本と違って、若者や子どもがたくさんいます。路地やちょっとした空き地や、なにしろそこらじゅうで子どもが遊んでいるのです。露店や屋台で店番をしているお母さんのわきに小さい子がちょこんと座っている光景も珍しくありません。私が日本語学校の門を出ると、近所の子どもたちがワラワラと寄ってきて「コンニチハ、コンニチハ」と言ってくれます。

イラストレーターを目指している学生
イラストレーターを目指している学生

さて教室では相変わらず、珍問答が続いています。

学生は入学後、ひらがなとカタカナを覚えるのと同時に自己紹介を覚えます。これはもう意味がどこまでわかっていてもいなくても、ほとんどの学生が早い段階でできるようになります。要するに丸暗記というヤツです。そして、クラスメンバーの入れ替えがあった後などは自己紹介をするというのがお決まりのパターン。

わたしが今担当しているクラスは、最低でも4か月は日本語を勉強している学生なので、自己紹介の後おたがいに質問し合います。私がうながさなくても、質問を投げかけてくれます。今自己紹介の中で言ってたよね?と言いたくなる質問や、それ今聞くか?みたいな質問もあるのですが、私はなるべく制止せずに聞きます。

「何を作ることができますか?」

自己紹介を聞いた上でのこの謎の質問です。にもかかわらず聞かれた学生は即答。

「私は自動車整備士になりたいです」

元気いっぱい将来の夢を語る学生。自動車整備士という自分を作っていくという意味ならまるで禅問答です。

「お兄さんは何をしていますか?」

「兄は犬です」

何をどう勘違いすると、あるいは言い間違えるとそうなるのでしょうか。想像がつく言い間違えもあるのですが、このときはまったく思いつきませんでした。常人では考えもつかない深い深い意味がある・・・それこそ禅問答でしょうか。

「お母さんは何歳ですか?」

「19歳です。あっ、いいえ、90歳です」

どちらにしてもリアリティはありません。

「ちがいます。9歳です」

慌てて墓穴を掘る学生、悶絶する私。

「趣味は何ですか?」

「日本の歴史がおいしいです」

おいしい日本の歴史なんて言うタイトルの雑誌の特集がありそうですが、歴史大好き青年の単なる言い間違いです。

意図的に教室を楽しませてくれる発言も増えます。

「私は月に住んでいます。ロケットで学校に行きます」

「彼女からバレンタインデーにジェット機をもらいました。週末ロンドンに行きました」

どこまでも広がる空想の世界。月に住んでいるという学生に、一度紹介したことがある竹取物語を思い浮かべながら私は突っ込みを入れます。

「かぐや姫に会いましたか?」

「会いました!」と学生。

さすがにほかの学生が「イマジネーション!イマジネーション!」、つまりそんなの空想だろうとはやし立てます。

ゲストを招いての特別授業
ゲストを招いての特別授業

今私の教室では、「イマジネーション」という言葉とともに「夢」という言葉もはやっています。睡眠中に見る夢のことです。学生が想像をふくらませて現実離れしたことを言うと「夢!夢!」という声が周囲から飛んできます。しばらく前は「うそ」がクラス内流行語でした。

私が、日本にはサンタクロースが本当にいて会ったことがある、プレゼントをもらったことがあると言い張ったときも、彼らは「イマジネーション」とか「夢」とか「うそ」とか言って、まったく信じてくれませんでした。

どんな語彙と文法を駆使すればサンタクロースのことを信じてもらえるのか・・・。来年のクリスマスまでの日本語教師としての宿題です。

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