No.196 予報は「大雨」だったけど | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.196 予報は「大雨」だったけど

2025/06/16

今年も学校の運動会の季節となった。だが、運動会まであと数日と迫るにつれ、天気予報のまさに「雲行き」が怪しくなってきた。さらに前日になると「記録的大雨の可能性」などと言う。もともと「学校の行事は天気に恵まれない」という過去のデータがある。その一つが、昨年8月末のスピーチ大会であった(No.187)。しかも、同じ会場であり、「またか!」という思いに襲われた。が、そんな天気予報に反して、当日は雨とはいっても大した降りではなく、予定通りに運動会は行われた。

今回も競技は4つ。「ボール送り」「リレー玉入れ」「綱引き」、そして「男女リレー」である。6つのカラーに分かれたチームで競われるこの大会。学生たちはチーム別のTシャツ着用で出場するのだが、そのデザインは学生からの応募によるもので、前面と背面、それぞれ別の学生の作品である。学生の中には、美術系の大学や専門学校を目指す学生も多く、また絵を趣味としている学生もいる。応募作品からデザインが選ばれた学生にとっては、大きな自信となり、宝物になったことだろう。

ところで、今回は前回での振り返りをもとに、いくつかルール変更が見られた。まず、リレー玉入れであるが、前回は「カゴをぐるりと囲んで、玉を入れる」ルールだった。が、「カゴのポールを支えるスタッフに玉が当たり、かなり痛くて危ない」という理由で変更。数名ずつが玉を手に走り、カゴの手前に引かれた線で止まって、そこからカゴに向かって持ち玉を投げ入れる方法に変更された。

もう一つは、リレーである。前回、6チームでいっせいに走ったところ、迫力は十分に楽しめたものの、その意気込みのため転倒する学生もいて、大事には至らなかったが「危険」と判断。今回は3チームずつ走り、タイムで順位が決定した。全競技が終わり、さて結果発表。優勝は「青」か「ピンク」か、で予想が分かれる中、僅差で「ピンク」が優勝、運動会(午前の部)は幕を閉じた。担当しているクラスは残念ながら6位という結果であったが、綱引きでの頑張りは「努力賞」ものだった。いずれにしても、今回一番の懸念であった天気予報が、いい意味で外れてくれて何よりだった。

実はこの日、運動会に向かうバスで、私は始発から乗ったのだが、途中で5歳くらいの男の子が一人で乗ってきた。そして、あるバス停で人がどっと降りた後、ちょこんと私の隣に座ってきた。雨予報ゆえに、フード付きのレインコート、カラフルなドットの長靴姿で、お行儀よく座っている。たまたま同じバス停で降り、同時に歩き出すと、男の子が小走りに「どこ行くの?」と聞いてきて、おしゃべり開始。方向も途中まで同じだとわかった。私の行先を伝えると、「そこで何があるの?」と聞く。「運動会」「どんな運動会?」「日本語学校の運動会。外国の人がいっぱいいるよ」「へぇー」といった他愛もない会話だったが、可愛い「道連れ」との時間を楽しみ、気分は朝から快晴であった。