とても素敵なクリスマスプレゼント! (三原 もなみ)
2010/04/01
大学時代から英語言語学を専攻しながら、大学受験生の英語の家庭教師をしていました。卒業後すぐにスペインへ来て、現地採用で日系の会社に勤めながらも、海外勤務の日本のビジネスマンの子弟の高校生に教えていましたし、結婚後も、母語話者でないハンディキャップを感じながらも、小学校や語学学校でスペイン人の学生に英語をずっと教えてきました。母語の日本語を教えたいと思いながらも、日本語を外国語として教える知識がないことをはっきり感じて、どうしても教える勇気が出ませんでした。そして去年、長女が大学入学、寮生活をはじめたのをきっかけに、もう一度新しい挑戦をすることを決心しました。
まず日本での滞在を最小限にするために、去年の春先から夏まで、授業の準備や採点の合間を縫って、アークアカデミーのウェブ講座を一応全部受けました。スクリーンに映る各先生方のお話を聞きながら板書をきちんとノートにとり、それだけで随分な量になりました。そしてこちらの夏休みを利用して、7月から日本語教師養成講座の理論講座と検定演習科を受けて試験に臨むことにしました。20年ぶりの電車通学、そして受験。4ヶ月間、家族を置いて家を留守にしているプレシャーもありました。実家の両親宅で家事もほとんど手伝わず、勉強だけさせてもらった分、真剣に取り組まないわけにはゆきません!!
若い頃は得意だった丸暗記が、全くできなくなっている自分に気づき、ただ黙々と莫大な量の課題をこつこつと授業に合わせて、取り組んでいくしかありませんでした。唯一救われた点は、授業でも、自習でもとにかく自分の好きなことに取り組んでいるので、時間のたつのを忘れるぐらい楽しんで勉強できたことです。興味のある点は、インターネットなどでもっと深く知るために、読み進んで何時間も費やすこともありました。暗記ができない分、そういった形でのみ自分のものにできたのかもしれません。
その他、受験勉強でやったことを箇条書きにしてみます。
・一度きりだが、ウェブ講座は全て視聴した。
・授業は一回も抜けずに出た。中間レポートと期末テストもできる限り努力した。
・通学の日の朝の電車で、1時間かけて予習と復習をした。
・学校の教科書でわかりづらいところや授業で興味を持ったテーマは、
ほかの教科書やインターネットでも補った。
・ウェブ講座でとったノート。授業でとったノート。そして試験前に自分で
まとめたノートと、全科目三回ノートをとった。
・過去の体験記などから、得意科目を作るようにと聞いていたので、音声学、
心理学と社会言語学の分野での高得点獲得を意識した。
・習った内容や、テレビなどでも聞く文法上の間違いの指摘を、その都度、
(少々うるさがられていたが)親に話して聞いてもらった。説明して理解
してもらうためには、こちらの知識を確かめなければいけないので。
・過去3年間の問題集と検定講座の試験問題はみんなに言われるように、
10月に入ってから、2回ずつやってみた。試験当日の時間に合わせて、
午前中は試験Ⅰを、食事の後に試験Ⅱを。そして夕食前までに試験Ⅲをすませた。
いくら勉強は楽しくても、試験はいやなものです。9月の模試では、偏差値は50ちょっとしかなかった私は、その後気を引き締めて勉強に取り組みましたが、9月半ばに眼を痛めて手術をする羽目に!!またひとつ困難が増えました。仕事も休んでいたので、もうあきらめて帰ったほうがいいような気もしていました。しかし、講座の先生方からのポシティブな助言をいただいたり、周りのクラスメートとの語らいなどたくさんの助けを得られたことで、最後までさじを投げずに、何とか続けられました。
当日の試験は予想以上に難しくて、完全にだめだとあきらめて、試験の3日後に予定通り、家族の待つスペインに帰りました。また翌年試験だけでも受けに帰ろうと心に決めて、全てのノートと使った教科書を持って帰りました。そして12月に日本の両親から、合格の知らせをもらいました。私にとっては一番素敵なクリスマスプレゼントを受け取った気持ちでした。
こちらスペインでも、日本語を学ぼうとする人口の若年化が進み、今年はマドリッドとバルセロナの両方をあわせて、新しいシステムになった日本語能力試験に900人以上の応募者がありました。私の教えている語学学校には、日本語のクラスはひとつしかありませんが、みんなとても楽しく日本語を学んでくれて、はじめて日本語のクラスを受け持つ私にとっても、毎日が勉強です。
三原 もなみさん