おいしい「タボキューレ」や、とっても可愛い「チカエクマウ」達に心から感謝! (北村 斉)
2011/04/01
「タボキューレ」ってきゅうりの親戚?「チカエクマウ」ってりすの仲間?
アークの音声講座を受講された皆さんはご存知のはず。実はこれ、我がアークの誇る女先生方の執筆による「聴解・音声特訓プログラム」という、検定試験Ⅱ(聴解能力の試験)のアクセント聴解対策のためのCDに登場する”意味不明語”の一部。
私の本格的な検定対策は、このCDを聞くことに始まり、このCDを聞くことで終わった。(往生際悪く試験Ⅱ本番直前まで聞いていたので)まずは、この”意味不明語”諸君に感謝だ!
今思えば、中高年オジンの今までとは全くの畑違いの分野への無謀ともいえるチャレンジ。この体験記、参考になる/ならないは読む人次第。この辛く、厳しく、でもかつてないほど充実し集中した勉強の毎日を過ごせた約7ヶ月(本格的には4ヶ月ぐらいかな)。いろいろな人に感謝しつつ、また反省も交え、時間順に振り返ってみる。
①4月期
アーク420時間総合コースに入学。入学前から、どうせやるなら、10月の検定合格を目指そうという気持ち。この頃は、日本語教育については検定も含めて無知蒙昧状態。半年も勉強すれば何とか受かるんじゃないのと軽い気持ち。あとでその厳しさを思い知らされることになる。
スタッフのSさんに相談し、検定に向けての最適履修計画を立ててもらう。4月期は少し実技も入れながら、理論をできるだけ履修(文法、心理、社会文化地域、語彙/表記、中級実技、教室活動実技)。7月期は検定演習科受講を中心に考え、実技(特に準備に時間を要する模擬授業のある初級)を避けて、残りの理論(社会、教育、音声)を。この時期は検定対策に集中したほうが良い、余力があれば理論の繰り返し受講を。試験勉強が山を越える10月期に実技の残り(コースデザイン、初級実技)を。7月期の音声講座受講は、やや遅いが、何とか乗り切って。このとき、Sさんから「皆さん、文法と音声に苦労されてるようですよ」との一言。後々この言葉通りの状況にどっぷりとはまりこむ。
【ポイント:Sさんからの適切なアドバイスによる検定を意識した講座履修計画。最初が肝心。Sさんに感謝!】
②7月期
4月期の理論受講で、文法がまるでダメなことがわかる。(文法は私にとって天敵じゃ)文法の教科書の問題は回答の解説がついて無いので、なんとなく正解でもその理由はよ~く考えないとわからない仕組み。O先生の子ライオン向けの指導方針か。リベンジを期すべく文法講座を繰り返し受講。(問題の回答の解説が無いのなら自分で作ってみようと思いつつ、いまだにリベンジ未了。アーク卒業までに何とかしたいなと思案中。
社会文化地域、語彙/表記も繰り返し受講を計画したが、検定演習科に注力のため中途で計画倒れ。
音声も難しいと聞いていたので、7月期の検定演習科開始前の学校がお休み中に、教科書を事前に購入し、独学でノートにまとめる予習を行う。と共に、この時から例の「チカエクマウ」と仲良くなれるよう聴解トレーニングを開始。(最初、アクセントがほとんどわからない事に愕然。でもまだまだ時間があるとの思いで、立ち上がりはスローペース。ただ聞き流すだけで、気が向いたときだけのヒアリング程度。)音声の本講義は予習したせいかよくわかる。予習した内容と検定演習科での講義内容の再確認と知識補充を本講義でやる形。予習の成果を実感。
7月期の教育、社会の本講義の内容も、検定演習科の勉強とダブって、授業内容がよくわかる。7月期の理論講座受講も今思えば正解だった気がする。
【ポイント:自分の苦手なもの、理解不足のもの、対策に時間のかかりそうなものをなるべく早めに知り、その対策アクションを。また状況に応じて学習計画/方法を臨機応変に変更する。アークの繰り返し受講制度を活用する。2大難関の文法・音声講座でいろいろご指導いただいたO先生に特に感謝!】
いよいよ、I先生の検定演習科が始まる。全30コマ(3コマ/日*10日)、全国統一公開模試付き。この受講が無かったら丸っきり風車に向かうドンキホーテ状態だったなと思う。毎回のテーマに沿った学校からの配布プリントの解説+問題演習とその解説。加えてI先生独自のレジメ。このレジメ、作成されるのにずいぶん時間がかかったのでは。必要と思われる関連情報、事項、語句が丁寧にまとめてあり、相当の力作。先生の熱意にも背中を押された思いがする。
この講座受講で、検定試験対策勉強のペースが作れたことが大きい。またこの講座の宣伝説明会でのS先生のお話から勉強の進め方についての多くの助言をいただいたことも有益。演習科で指導されたことを真面目に一つ一つ、とにかくこなしていくことを心がけた。以下統一模試までの私がとった検定対策アクション。
・長期の大まかな学習計画を立てる。(ただし、実際は遅れ気味で、過去問のトライ回数など計画通りには進まなかった。(3回ー>2回)各講座の教科書内容の再レビューなど当初予定したが、これも実行できず。)
【ポイント:やはりプランは大事。大まかでも良いので本格的な勉強開始前にたてること。計画は必ず予定通りには行かないものなので、見直しは必須と心得る。今日帰ったらまずプランをとのS先生のご指導に感謝!】
・使用した各種試験対策本/参考書:「新合格水準日本語教育能力検定試験用語集(アーク)」「聴解・音声特訓プログラム(アーク)」「新合格水準日本語教育能力検定試験問題集(アーク)」「過去問H20~H22(3年分)」「月刊日本語(アルク)」「国語表記ハンドブック(三省堂)」「アーク教科書(含む授業中配布資料とノート)」
*過去問はS先生からは5年分をとのお話があったが、今年は問題が変わるとの情報もあり ミニマムのの3年分に。
【ポイント:多分このくらいが最小限かも。これらに加えて検定演習科の資料/演習・模試問題があるので十分だったように思う。参考書は手を広げすぎない。やると決めたものは確実にきっちりと。】
・ 毎回の検定講座の復習を地道にきっちりやる。講座での各種資料と演習問題を詳細に/丁寧に復習した。新出語/気になる言葉/頭に入っていないと思う言葉は必ずノートに書き出し、用語集、WEB、電子辞書、教科書(含む授業中の資料)で調べた内容をノートにまとめる作業をひたすらやった。演習問題については、正答以外の選択肢の人、言葉、略語などについてもひたすら調べて、ノートに書き出した。
特に演習問題については正答の理由も書き出した。当然、トピックスとしてあげられた入管法、敬語指針、常用漢字改訂、新日本語能力試験,CEFARなどについてもWEBで調査(一部調査不十分だったが)。これには相当の時間がかかったが、ひたすら調べてノートへ書き出すという作業が、中高年オジンの衰えた記憶力の補完になったのかも。同時進行で、検定講座で指導のあった「検定試験問題集(アーク)」の該当範囲の語句解説の復習、問題演習/正答のレビューをノート書き出し方法で同様に実施。何度も重複して同じ用語が出てきたが、ひたすら繰り返しの作業を実施した。(用語集は語句によっては、何回同じページを開いたか判らないくらい。)
・ 過去問は、模試前までに完了しようと思っていたが、検定講座/アーク問題集の復習に時間がかかり、この時点では検定講座の中でやったH22年分しかできず。過去問の学習方法も同様でノート書き出し法。
・ ここまででノートが100枚、WEB調査は自宅のPCで。その他は極力近くの図書館に通い集中的に勉強した。
【ポイント:今回の試験勉強の大半の時間をこの作業に使う。理解/定着のための効果的学習方法は人によって様々。自分にあった方法を見つけ、ひたすら地道に実行する。I先生の熱意のこもったレジメは本当に役立った。感謝感謝!また検定演習科受講は、何をどう勉強していいか判らない私にとっては、まるで嵐の海をさまよう小船にとっての灯台のよう。(オーバーなシミリだ。)感謝!調べても考えてもどうしても判らない事があれば、なりふりかまわず先生/近くの演習科生をつかまえて聞くべき。(大いなる反省点、先生の周りにはいつも人だかりで遠慮してしまったダメパターン。)受講時は極力前に座るべき。(これも反省点、いつも最後列席で先生の言葉を聞き漏らさないよう注意深く聞くのみ、積極性に乏しくこれもダメパターン。)】
・ 聴解について、苦手のアクセント対策は聞き取ったアクセントを紙に書き出すことを途中から開始したが、正答率がまだまだ。何回も聞いているうちに答えを覚えてしまうので新しい素材を探してやることも必要と検定演習科生の人に教わる。演習科の模擬問題では5割しかできず、才能が無いのではと落ち込む。音声講座のO先生にも相談したが、普通の人は2~3ヶ月聞き続けていれば耳ができるはずなんだけどなとのこと。
また、新たに学習者の発音の間違いが完全に聞き取れていないということも判明。更に1回の会話を聞いて複数の問いに答えよという厄介な問題があり、これもダメ。音声記号表はとにかく覚えなさいとのI先生の指導で、何日かに1回のペースでとにかく書いて覚えることに。声道断面図は紛らわしいものが多数あり、まだこの時点では音声記号との対応は不完全。実は4月から英語ヒアリングの通信講座も始めており9月末までにこちらの終了も必要。アーク他への行き帰りの電車内は、日本語聴解CDか英語のCDを聞き続ける毎日が続く。
【ポイント:聴解問題はアクセント/学習者発音の間違いに対する耳ができていることが必須。一般的に中高年は耳が衰えている。耳作りには時間がかかる。中高年の苦手人は早期のトレーニング開始を。音声記号と音声断面図はまず音が出るメカニズムの理解を。そのメカニズムは至極論理的。二兎を追うものは一兎を得ずなので勉強は一本に絞ること。(反省点、英語も同時になんて考えが甘かった。)】
・ 試験Ⅲの記述は、どうせ、正解は無いのだからと、軽く見ていて、ほとんど何も特別な対策をせず。この試験は短期の付け焼刃ではどうにもならないだろうというところもあった。今ある実力で勝負という気持ち。
【ポイント:この考えが模試の惨憺たる結果に。この勉強方法ってハッキリした目標が見えないので結構難しい。ただ日本語教育事情などの把握のために、先生方お勧めの日本語関連新書/月刊日本語などを読むべき。(大いなる反省点、他の検定対策勉強優先でほとんど読まなかった。)】
③統一模試(9月4日)
当初予定では、ここまでに過去問トライを含め、万端の準備のもとにこの試験を受験し、弱点洗い出しと本番までにその対策をという目論見。ところが音声は検定演習科の模試直前演習で、5割の出来という状況。過去問も2年分手付かず状態での受験。本番さながらの緊張感と集中力が必要な中でI先生推奨のチョコレート持参でのチャレンジ。本当に頭が疲れ、帰りには普段飲まない砂糖・ミルクたっぷりのスタバコ-ヒーをむさぼり飲みした記憶がある。帰りに一緒に受験した人と、まあ模擬なんだし、この結果を本番に向けてフィードバックすればいいのだから、前向きに行こうよなんてお互いに慰め話をした思い出もある。
試験結果は総合点では平均よりちょっと上。予想通り試験Ⅱ(聴解)は平均点以下、また試験Ⅲは記述が0点で平均以下という惨憺たる結果に大ショック。このままだと絶対やばい。何とかしないと今までの努力が無駄になる。あせり。ただし、試験Ⅰが思いのほかできていたので多少救われる。私の弱点は聴解と記述。
【ポイント:模擬試験は受けるべき。本番さながらの環境・条件で、本番に出そうな問題が準備されている。本番まで1.5ヶ月の時点で弱点が判り/それまでの勉強の成果が測れ、対策を打てる。ただし今回の模試について一言。記述の評価根拠を具体的に教えて欲しかった。どこがどうダメなのかの具体的フィードバックがあったら、対策も考えやすい。(主催者さんへのお願い、でもそこまでの指導は難しいかな。)】
④模試結果判明から本番まで
模試の結果で弱点は明確に。このままだと落ちる。藁をもつかむ思いで、「超・直前 検定対策セミナー(アーク)」を受講。このセミナーでのご指導内容も踏まえ以下私のとったアクション。
聴解対策
・ アクセント他:I先生の指導の中で、声に出して、紙に書いて、目口耳などフルに使って聞く耳を作れとの話があったのだが、声に出すことをあまりやっていないことに気づく。この頃から、大好きなテニスを中断していて運動不足なことと、朝型脳の準備も考え、毎朝6時起床の近所ウォーキング(1時間~1時間半程度)を開始。例の聴解CD(学習者の間違い発音のCD含む)と、直前セミナーのS先生の指導による2音、3音、4音の各組み合わせのアクセントパターンを全て録音したものと、音声の模擬問題(過去問を含む)CDを録音したものを歩きながら聞き、聞き取ったものを声に出すトレーニングを毎日(雨の日はさぼったかな)実行。朝っぱらから、意味不明なことをつぶやきながら歩いているあやしいオジサンがいると見られていたかも。当然電車の中でも、声は出せないがヒアリング続行。
また、S先生からの、試験開始後すぐにアクセント問題の”かな文字”を、問題用紙の高低チャートのところに対応して書き込めとの指導を受け、模擬・過去問をやるたびに書き込み練習。
・ 音声記号表(含む母音の舌位置ホームベースの図):この頃には、何も見なくても表が書けるようになっていたが、試験が始まってから素早く問題用紙の空いた場所に書くべく、模擬・過去問をやるたびに練習。
・ 声道断面図:検定講座でいただいた図を切り抜き、各音に対応した図のカードを作成。これをシャッフルして、カードを見て何の音かを当てる訓練を実施。これは晩酌のときに家族も巻き込んで楽しみながら。こちらも試験が始まってから素早く問題の該当の図に対応の音が書けるよう、模擬・過去問をやるたびに練習。
記述対策
・ 遅まきながら、溜めていた月刊日本語を読む。日本語教育事情/課題/キーワード/検定試験擬似問題など、結構役に立つ情報が満載。またS先生のご指導もあり、国語世論調査の結果についても再レビュー。
・ 直前セミナーのS先生から教わった定型パターン構成(結論ー>理由ー>展開/まとめ)を意識して20分以内で書けるように、検定講座・模試などでの問題を掻き集めて書く訓練をくりかえして実施。模試では多分問われていることにきちんと答えていなかったのではないかと思われたので、この点にも特に意識して論点を組み立てることに重点を置いた。
試験Ⅰ/Ⅲ対策
・ 模擬試験/検定講座総合問題の復習と、過去問2年分の実施と復習を例のノート書き出し法にて実施。(ノートの枚数はトータル150枚に)書き溜めたノートの内容は電車内なども使ってざっと読みの一通りのレビュー(特に苦手な文法関連中心)を実施。(メイン作業は図書館にて。集中した勉強を実施。)
・ I先生の指導で検定講座・模試・過去問の長文問題の正答を入れた完成文を何度も音読せよというのがあったが、未実施だったので、音読したものを録音。これを朝ウォーキングしながらヒアリングした。こちらも電車の中でもヒアリング。
試験シミュレーション
・ 直前の2週間は、過去問、模試、月刊日本語の模擬問題など、試験Ⅰ~Ⅲを通しで時間を決めて本番に極力近い時間割で実施。試験Ⅱは短時間での事前書き込みの練習、記述も含んで各試験での時間配分の確認、マークシート使用で実際に使う鉛筆などにもなれることも目的に。(家または図書館にて。)
試験会場下見
・ 1週間前くらいだったか、会場(東大駒場)までの行き方と周りの様子を知るために下見を。近くにコンビニは1軒しかなく昼食は事前に買って行ったほうがよい。場所は駅を降りてすぐ正門なので迷うことはなさそう。
10月期実技講座
・ コースデザインと初級実技が開講。よっぽど休んで試験対策をやろうかなと思ったが、気分転換にもなるしということで、休まず受講。実はこれが本番で役に立つことに。
【ポイント:電車の中も路上も私の勉強部屋。試験のための細かいテクニック/配慮/準備をおろそかにしない。(チョコよりブドウ糖の方が即効、マークするにはシャーペンよりも鉛筆が早い、消しゴム/鉛筆は落としたときのために予備を用意し使い慣れたものを、時間がかかりそうな問題は後回しに、全ての問題(記述を除く)の配点は難易関係なく1点なので易しいものを優先で、長文問題は逐次回答のほうが早いか(回答スピードを早く)、不正解を選ぶ問題にはマーキングを、マークミスなどのイージーミスを点検する時間を確保、試験Ⅱの各種事前書き込みは有効、アクセントは1回目は前で2回目は後に注耳etc)直前の試験シミュレーションと会場下見はおすすめ。あきらめないで弱点克服に最後までベストを尽くす。(1点差が明暗を分けるんだとのS先生の言葉はグサリ。)I先生・S先生の細かい指導/的確な指導に感謝!】
⑤本番(10月23日)と試験結果
ついに本番当日。途中のキヨスクで昼食のおにぎりを買って、いざ出陣。やれることはやったとの思いがあったので、あとは運を天に任す心境。行きの電車ではいつもの聴解CDと長文問題録音を聞く。ノート/記述対策資料も持参したがぱらぱらめくる程度。
試験Ⅰ
平常心を意識したが、やはり緊張。いつも点検用のマージンを見た終了目標時刻をセットして開始するのだがこれを忘れた。途中長考を要する問題にはまり込む。いつも途中では時間チェックを入れるのだがこれも忘れた。気づいたときは終了10分前なのに、大問が3、4問未了。頭が真っ白になり確率1/4の機械的マーキングでマーク。全てマーク後残り5分。最後の問題からトライを始めてみると意外に簡単に答えられる問題が多い。一通り目を通してマークを修正したところでタイムアップ。いきなりのカウンターパンチで却って開き直り状態。
試験Ⅱ
済んだことはしょうがないので、気持ちを切り替えるために昼食後キャンパス内を例のCDヒアリングをしながら散歩を。試験開始の合図で、まずアクセントの事前書き込みと音声表の書き込みを。もうここまできたら自分を信じるしかない。アクセント試験終了後の次の試験の例題説明時に問題の声道断面図に音を書き込むが、迷ったものが何個かある。とにかく耳に集中を持続することを意識したが、手ごたえを感じないままアッという間に終了。試験Ⅱよお前もか。
試験Ⅲ
ようやく落ち着いてきた感じ。試験Ⅰの反省から、残り30分を残して一通り選択問題は終了。記述に取り掛かるも、何じゃコリャの問題。検定講座などでやった問題と傾向が違い、学習者の条件を考えた教室活動(実際の具体的な教え方)を問う問題で、現場サイドに近いテーマか。再び頭が真っ白に。それでも何とか400字埋めないとで頭に浮かんだのが、初級実技のM先生の「日本語教師はサービス業なのよ」との一言。「確かにそうなんだろうな」と妙に頭に残っていた言葉。この言葉から無理無理ひねりだして、「学習者がそのことを希望している目的(ニーズ)が不明、理由とともにもっと掘り下げて聞くべき、その上でどうするかを具体的に考えていくべき、なぜなら学習者の欲する真のニーズをかなえてあげられるように指導することが教師の務め」なんていう、変化球勝負も甚だしい論理展開の回答を。また摸試の再現をやってしまったか。試験Ⅲよ、信じていたのに、おまえも見放すんだね。
もう、どの試験もダメダメ状態。完全に落ちた。まあしょうがないこれも実力なんだと言う気持ちとやっと終わったという脱力感とで、帰りの電車で半ば放心状態でいたのを思い出す。
結果通知
本番以降、もう二度と問題を見たくない状態、もう忘れたいという気持ちで実技講座に専念。ところが12月の中旬に、全くの予想に反して合格証が届く。本当にサプライズ。うれしい出来事に、なにかと協力してくれた家族と共にその夜はワインで乾杯。今までに無い極上の達成感を美酒とともに味わった至福の時。この時を味わえただけでも今回のチャレンジは報われた。得点はわからないがギリギリ合格もトップ合格も同じ合格。合格してしまえばこっちのもの。却って得点は知らないほうが幸せか。
【ポイント:本番で如何に普段どおりの実力を発揮できるかが鍵。(反省点。模擬・シミュレーションなどの場数をふむこと、そして十分な準備と努力をしたんだという自信、だめなら来年もあるとの開き直りが有効か。本番に向けての健康管理も重要。)最後まであきらめないでベストを尽くす。(途中で投げることは簡単だが、ギリギリまで粘る、悪あがきとも言う)実際は自分が感じたほどできは悪くないと思うこと。後の試験に尾を引かないために。(人はできなかったところを必要以上に拡大して意識してしまうとの話をどこかで読んだことあり)試験中の携帯鳴動は即退場なので要注意。初級実技のM先生の一言がなければ記述は白紙だった、M先生に感謝!】
以上、中高年オジンの7ヶ月の無謀チャレンジを振り返ってみた。合格通知から1ヶ月たつ現在の正直な思いは、合格の感激と興奮も少々冷め、有名なこの俳句のような心境。
【めでたさも、中ぐらいなり、おらが春】
(注:オリジナルは”ちう位”=”いいかげん”ということらしいが、ここでの意味は”中ぐらい”=”中程度”という意味)
その心は、この合格は決してゴールなんぞではなく、日本語教師としてのホンの始めの初めの一歩であること。付け焼刃的で促成栽培なんて言われないよう、またこの合格をペーパーにとどめないようにするには、これからが本当の正念場。いつまでも舞い上がっていてはいられない。充実した第二の人生をおくるため、日本語教育への思いを胸に、まずは3月のアーク卒業に向けて、残りの実習と苦手の教科(文法、実技など)の繰り返し受講を頑張ろう。
また振り返ると、アークでの理論/実技の各講義には、随所に検定対策のキーワードの説明がちりばめられており、これぞまさしくH先生のおっしゃったヒドゥンカリキュラム。更に、フリートーク、授業参加イベントでの生の学習者さんと直接対話できる機会は、検定にとってははもちろん、教師になるための非常に有益な体験。理論/実技の各講義の確実な理解と学習が、やっぱり何といっても一番の検定対策の基本であることに間違いはない。
【これらの理論/実技講座をご教授いただいたアークの諸先生方、各イベントをハンドリングいただいたスタッフの皆様、4月から一緒にアークの講座で机を共にさせていただいた皆様に、あらためて感謝!】
【おっと、これを忘れてはバチがあたる。いつも晩酌しながら試験前には検定用語問題を出してくれた我が妻と暖かいエールを送ってくれた子供達に、これからもよろしくの気持ちも込めて、特大の感謝!感謝!】
《最後に、検定受験を考えていらっしゃる皆様へ》
おいしい「タボキューレ」はいかがですか、そして、とっても可愛い「チカエクマウ」達に会ってみませんか。夢をお持ちのあなたになら、あの「ソムロイパル」が見つけられるはず。きっと夢の扉が開けられるはずです!是非チャレンジを。ご健闘を祈ります。
北村 斉さん