理論科目の複数回聴講と用語集の利用 (星川 美代子)
2011/04/10
勉強の方法は人によって様々である。それぞれの一番やり易い方法で受験に臨めばよいのであるが、50歳をすぎた私のような受験者の方々の少しでも参考になれば、と思い寄稿した。
学生の頃とは違い、記憶力の低下、物忘れの早さが目立ってきた。以前は一度で覚えたことが二回あるいは三回繰り返さないと定着しない。一度覚えたつもりでもすぐに忘れてしまう。仕事、ボランティア、趣味と外出することが多く、家庭では家族6人の家事にほとんどの時間を割かれるため、勉強時間を作ることがなかなか難しい。そこで、学校に行くことによって、家庭と自分を切り離し、勉強しなければならない切羽詰まった状況の中に自分を無理やり置くことにした。
7月期からはどうしてもはずせない用事がある日以外、月曜日から日曜日まで毎日、アークの各校舎へ通い、理論科目の授業を繰り返し聴講した。2回目の聴講のときには、なるべく同じ講師の授業ではなく別の講師の授業を受講。講師を変えることによって、より内容がわかりやすくなるからである。同じ項目でも説明の仕方が違うので、1回目の授業でよく理解できなかったことが、2回目の授業で自分のものにすることができた。
授業時には、講師が言った言葉を一語一語、「用語集」で引いて、確認するようにした(マーカー等の利用)。そうすることによって、脳と目と手で覚えることができるからだ。また、一度出てきた用語でも忘れていたり、うろ覚えだったであったのが明瞭になった。当然、講師の口から用語が出てくるたびに「用語集」を開くことになる。「用語集」はぼろぼろになった。それでもよくわからない語は帰宅後PCで調べたりした。お盆休みには「用語集」の全用語をノートに書き出し、あいまいな用語は要点も書き写した。「合格するための本」の用語も全てノートにまとめた。
複数回授業に出るので、ノートのとり方も工夫した。各科目毎に厚めの大學ノートを用意した。ノートは見開きで使い、1回目の授業時には右ページを、2回目には左ページを使った。これによってそれぞれの講師の講義の内容の相違がわかり、何が重要なのかハッキリした。また、同じ教師の場合でも、毎回全く同じ講義ではないので、2度目のときには文字の色を変えて付け加えた。これが復習するときにとても役に立った。
当初、検定演習科を受講するかどうか迷っていたが、前にも述べたように家庭で勉強時間を作るのが難しいため、受講して学校で勉強することにした。演習問題をするたびに、自分がいかに中途半端に覚えていたかがわかった。何となくわかっていても、正解することは難しい。検定演習科ではわかっていることとわからないことがよくわかり、受験勉強の助けとなった。池田先生には何度も質問して、納得するまで丁寧に説明していただき、感謝している。
また、音声の授業を取るのが7月期になってしまったため、検定演習科の演習問題では未習項目が多かった。過去問題(平成18年度から22年度まで)模擬試験、聴解問題等すべてを録音し、通学の行き帰りには必ず聞くようにした。これによってだいぶ耳もなれてきた。
土曜日日曜日も学校に行き、家庭にいないことが多かったので家族にはだいぶ迷惑をかけたが、この一年間本当に充実している毎日だった。私はもともと手帳にスケジュールを埋めること、忙しいことが趣味のような人間なので、家族はあきらめていたとは思うが、好きなことをできたのは家族の理解と協力の賜物である。
最後に奥澤先生の伝授であるが、自分が受かることをシュミレーションして受験にのぞんだこともよかったと思う。手帳の中に「日本語教育能力検定試験に合格する」と自分で書いたお守りをはさんで、手帳を開くたびに自分に言い聞かせていた。ちょっと人に見られると恥ずかしいので、こっそり開いていたが。自分を自分でコントロールすることから受験勉強は始まる。受験勉強はとても楽しいもの。皆さんの合格を心より祈念する。アークの講師の先生方、親切にしてくださった職員の方々ありがとう。
星川 美代子さん