日本語教師の日常エッセイ「チリもつもれば」No.17 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.17 15分の過ごし方

2015/11/16

学校の留学クラスは、レベルによって午前クラス、午後クラスの二部制だ。それぞれ3時間の授業だが、途中で15分の休憩を取ることになっている。その時間が近くなると、ちらっと時計に目をやる学生もいて、教師も少し落ち着かなくなるものだ。で、その15分の過ごし方だが、多くの学生は「いざ食料確保!」とコンビニに向かう。特に午前クラスの場合「家で朝ごはんをしっかり食べてきます」という学生はごく少数派。この休憩こそ、絶好の「初・栄養補給タイム」となっているのである。


以前の校舎もそうだったが、新校舎もすぐ近くにコンビニがある。以前の場所に比べると静かなエリア。学校が移転した当初は、店員さんたちがその「留学生大挙来店」に大いに驚いたであろうことは、想像にかたくない。もしかして、ちょっとしたパニックだったかも知れない。


さて、休憩時間がそろそろ終わろうかというタイミングで教室に戻ってみると、まだパンやおにぎりを頬張っている学生や、中にはおでんを悠長に食べている学生も。「はい、そろそろ始めますよ」と促しつつ、ふと目をやると、いかにも寝起き顔の眠そうな学生がいる。


もし自分が学生で、休憩時間に何をして過ごすかと考えると、「寝る」という選択はないと思う。「たった15分じゃ、かえって眠くなる」と思うからである。しかも、教室とはいえ、人目のあるところで机に顔をうずめて寝る、ということに抵抗もある。一般的に昼寝習慣のない「ザ・日本人」的な発想なのかも知れないが。会社なら、なおさらだ。

 

しかし、今は少し認識が変わった。テレビや雑誌などで「15分の仮眠効果」が提案されているからである。人は、昼12時から3時の間に15~20分くらい仮眠を取ると、午後の作業の効率がアップするという。長くても30分以内がルール。オフィス全体で推奨してくれたら、人目も気にならず、上司に「二日酔いか」と疑いをかけられることもないだろう。


もっとも、クラスの学生の場合「午前から仮眠」というのが気になるけれど、15分で少しでも頭がスッキリするなら、それもまたヨシとしよう。

 

だが、同じ睡眠でも、授業中の居眠りは見逃せない。自分が説明している時に気持ち良さそうに居眠りされて、いい気はしない。さすがに「これも睡眠学習」とポジティブに考えるほど、寛容にはなれないのである。

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