No.118 オリンピックイヤー | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.118 オリンピックイヤー

2020/01/29

いよいよ「東京2020」、オリンピックイヤーの幕開けである。振り返れば、7年前に東京開催が決まってから今まで、けっして順風満帆だったわけではない。エンブレムや新国立競技場のデザイン、昨年のマラソン会場変更などなど、「えっ、今さら?」と驚かされることも少なくなかった。とにかく、新国立競技場も無事に完成し、7月24日には開会式を迎える。


そんな中、南スーダンの陸上選手とコーチの計5名が既に「来日」した、というニュースを見たのは昨年の11月中旬のことだ。同国では内戦が続いた影響で適当な練習環境がないため、受け入れ先を探していたところ、群馬県・前橋市が申し出たということだった。彼らがこの遠い日本でどのように暮らし、トレーニングを積んでいるのか、非常に気になるところだ。


ところで、海外からの観光客増加に伴って、街中の看板やピクトグラムの整備が進んでいるが、昨年あたりから私が特に注目しているのは、電車内の英語のアナウンスである。ここで言う英語は、プロによる録音ではなく、日本人の乗務員が日本語のアナウンスの後に続ける英語のことだ。「この電車は千葉行きです」なら「This train is bound for Chiba」といった感じだが、乗務員によって話し方に違いがあって興味深い。自信をもってはっきり話す人もいれば、ささっと軽く流す人もいる。今後、運転見合わせなどの際にも英語のアナウンスが行われるのか等、車内アナウンスがどのように進化していくのか、電車に乗るときの秘かな楽しみにしたい。


さて、あと6か月。東京で暮らしている者として、世界的一大イベントに微力ながら役に立てたらと思っていたのだが、公式ボランティアは時間的にも厳しい。せめて街で道に迷っている人、何か困っている人に、「大丈夫ですか」と気軽に声をかけられる語学力と勇気を身につける、というのを目標にしようと思う。これから夏まで、そのために私なりに日々精進したい。

 

そういえば、東京ではないが、海外からの観光客のために大阪城で英語のガイドをしている、という小学生の兄弟がテレビで紹介されていた。もともとは英会話の上達のためという目的だったようだが、積極的に観光客に話しかけ、流暢な英語と豊富な知識とホスピタリティでガイドを務める姿は、小さくも頼もしい親善大使。大人こそ、見習うべきものがある。


2020年といえば、オリンピックもさることながら、個人的には他にも気になることがある。恩賜上野動物園のパンダ、シャンシャンだ。2017年6月に生まれたシャンシャンは、本来2歳になった段階で中国に返すことになっていたが、昨年1年延長。その際の約束で「2020年中に中国に」ということになっている。激動の2020年、年末まで気が抜けそうにない。



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