No.127 今、できること | 日本語教師目指すなら日本語教師養成講座、日本語教育能力検定試験対策のアークアカデミー

No.127 今、できること

2020/06/25

今年も気がつけば6月も終わり。例年ならば、しみじみと「上半期」を振り返り、来る「下半期」はどんなことが起きるだろうと胸を弾ませているころだ。が、今年のこれまでを考えると、あまりに大変なことが多すぎて、「しみじみ振り返る」余裕がない。おそらく多くの人が、できれば後ろなど見ずに、ただ前に進んでいきたいと思っているのではないだろうか。


そんな中での、一歩前進。学校は、ついに6月中旬より対面授業のみとなった。つまり、月曜日から金曜日まで、すべて学校での授業となったのである。6月に入ってからの2週間は「週2日登校、3日はオンライン」というカタチで進んでいたため、校内は基本的に1フロア1クラスで、かなりひっそりとしていた。それが、ようやく全クラス揃い踏み。時間差授業、検温や消毒、校内移動等のルールは継続され、あくまで新生活様式のもとでの授業ではあるが、なんとかここまでこぎ着けた感慨にひたる。一歩、また一歩。それを日々実感した6月だった。


さて、オール対面授業となったことで、担当している授業にある内容が加わった。「口頭表現」である。初級クラスではわかりやすく「会話」と呼んでいるが、とにかく学生の発話を促しながら、コミュニケーション能力を高めていく授業。オンライン授業では思うように進めることはできないためカリキュラムからは外れていたが、対面授業によりスタートしたのだ。


ここで、問題発生。口頭表現の授業自体は、さまざまなレベルのクラスで担当してきたので心配はないのだが、なにせこのご時世での授業である。「濃厚接触」は避けねばならない。そのために、教室も従来よりも広くとっているのだ。ゆえに、最後に学生同士がペアを組み、隣に座って会話を作り、みんなの前で発表、フィードバック…と進めてきた従来のやり方が採用できない。ペアを組むときの「くじ引き」なども、ちょっとした盛り上がりのきっかけになっていたのだが、残念ながらそれもできない。考えた末、AとBの会話のうち、Aの会話内容をすでに記入したプリントを作成し、相手Bのセリフだけを学生に考えさせ、さらっと発表、という流れにした。不完全燃焼だが、できることから。こんなところでも、小さな工夫が求められている。


今、学校のエレベーターの定員は5人と決められている。本来は定員11人だが、密を避けるために、1階で誘導しつつ、四隅と真ん中に「足型」を貼って立ち位置を指定。さらに不意に向かい合わないよう、四隅には可愛い動物の写真を貼って「ここを見ましょう」と促している。エレベーターの中の、小さな癒し。まだまだ続く新生活様式ルールのもとで、ちょっとした気遣いが学生にも届いているはずだ。今、できること。小さなことが、明日をつくる。



essay2017001