No.171 学生たちの化学反応 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.171 学生たちの化学反応

2023/05/08

新学期が無事に始まって、1か月ほど経った。コロナ禍前には、3月に多くの卒業生を送り出し、4月には学生数もやや落ち着いて、7月期、10月期と学生が再び増えていく…というパターンであった。が、その周期がコロナ禍で変わり、4月期から学生数が急増して、学校は日々活気に包まれている。今期の私の担当クラスはといえば、準備教育課程2クラスのほかに、留学クラス2クラスの週4回。厳密に言えば、留学クラスは同じクラスに週2回入っているので、計3クラスである。

今期からの留学クラスにおける大きな変化は、「従来の選択授業」が完全に復活したことだ。コロナ禍前、午前クラスの場合は週3回、前半が所属クラスでの授業、後半が選択授業となっていた。そのため、前半終了後には、大勢の学生が選択授業の教室に移動すべく、校内で大渋滞が起こり、学生たちの声と相まって、ちょっとしたお祭り状態だった。それが、一時はオンラインでの実施となり、感染対策のために選択授業の回数を減らし、あれこれ方法を模索しつつ行われていたのだ。

そして、従来のカタチが解禁となり、再び活気が戻ってきた。私が担当しているのは、「EJU聴解」と「日本社会理解」の2つ。後者は、日本国憲法や社会保障などなど、学生が日本で生活していく上で「知っておいたほうがいい知識」を取り上げる。既に、準備教育課程では「公民」の授業を担当しているが、まだまだ自分自身の知識が足りないと痛感している日々。果たして大丈夫かと、一抹の不安はあるのだが、とにかく、学生と一緒に学ぶつもりで楽しんでいきたいと思っている。

ところで、他の担当クラスでも、ちょっとした変化があった。現在、準備教育課程は、4月にスタートしたばかりの1年生クラスと、去年からの2年生クラスがある。この2年生クラスは、前期まで2つに分かれていたのであるが、4月から合併されて1つになった。別々のクラスだったときは、少数制で和気あいあいとした空気が漂っていた。それが、いざ合併されると知ったとき、これまでの空気がいったいどう変化するのか、とにかく「混ぜるな!危険」にならないことだけを祈った。

果たして、その結果は…幸いにも、現在のところ「吉」と出ているようだ。同じ国の学生がいることを知って喜ぶ学生もいれば、国は違うけれど日本語以外の「共通言語」をもっていることを知り、一気に距離が近くなった学生もいる。何より、「日本での大学進学」という同じ目的をもったライバルたちの存在が、いい刺激になっているように思う。そして、「この合併を機に、みんなに受験生としてのスイッチが入った」と言いたいところだが、現実はそんなに甘くない。授業にほとんど集中していない学生もいれば、ちょくちょく遅刻をする学生もいる。まあ、まだ新体制は始まったばかり。これから、彼らがどんな化学反応を見せてくれるか、しばし温かく見守りたいと思っている。