No.170 春、らんらん | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.170 春、らんらん

2023/04/07

この春のキーワードは「4年ぶり」。ようやく、ほぼ規制のない自由なお花見が解禁となった。まさに、みんな「待ちに待った」という感じだ。桜もそれを知っているかのように、東京は3月に入って気温が上昇、史上1位タイの早い開花となった。その後、雨模様で気温が下がったものの、心配したほど花は散らず、結果的に長く美しい桜が楽しめた。偶然にも、よくできたシナリオである。

この「4年ぶり」は、もちろん日本人だけではなく、海外からの観光客にとっても同じだ。桜の季節になって、実に多くの観光客を見かけるようになった。先日も、地下鉄に乗っていると、欧米系の家族と思われる3人が隣に座った。母と娘らしき2人が東京の観光パンフレットを手に、楽しげにおしゃべりしている。チラッと横目でのぞいたそのパンフレットには、お花見の名所案内とともに、それぞれ桜の写真が載っていた。「ウエノ」「アサクサ」という地名が聞こえてくる。そんな様子を見ているだけで、こちらまで嬉しくなる。できれば、むこうから何か質問でもしてくれたら、軽くおしゃべりをして「日本の春を楽しんでくださいね」などと言えるのだが、残念ながら尋ねてくれる気配はまったくない。仕方なく、心の中で「楽しんでくださいね」と伝えて、静かに地下鉄を降りた。

ところで、学校は3月中旬から4月上旬まで春休みであった。ここ数年、なんだかんだ休みの間にやらなければならない仕事があったが、今回は久しぶりの「ほぼオフ」。これはぜひ有効に使わねばと、まず手をつけたのが「写真整理」だ。恥ずかしながら、実に20年以上前から、写真をアルバムではなく、箱に入れたままだった。「何とかしなきゃ」と思いつつ、その量の多さに憂うつになり、ついつい先延ばしにしていたのだ。この機会にやらなければ、永遠にできない気がしてきた。というわけで、アルバムを数冊購入し、整理開始。とりあえず、時系列でざっとグループ分けしてみる。すると、20年前どころか、大学時代の写真まで大量に出てきた。恐ろしいほどの怠慢である。

ところが、いざ始めてみると、これが楽しい。台湾、ベトナム、ロシア時代の写真で、たくさんの懐かしい面々と「再会」した。今も連絡を取り合っている人もいるが、すでに写真でしか会えない人たちもいる。意外とサクサク作業が進み、すっきりアルバムに収めると、気のせいか写真も喜んでいるように見えた。不思議なことに、この写真整理が私の気持ちまで軽くしてくれたようで、その後いろんな場所へ出かけ、いろんな人に会い、今年の春休みはいつになく充実した日々となった。

さて、新学期。多くの新入生を迎え、入学式はなんと3回に分けて行われたそうだ。新入生はいったいどんな気持ちで入学式を迎えたのだろうか。そして、この3月に卒業していった学生たちは、どんな入学式を迎えたのだろうか。それぞれの笑顔を思い出し、早くも懐かしく感じている。