No.180 「雪の日」と「書店」の話
2024/02/15
やはり、雪は降った。2月5日の月曜日。「都心でも積雪10センチ超のおそれ」という情報が、数日前から流れ、月曜日も朝から雪の話題でいっぱいだった。気温もぐっと下がり、「帰宅時の交通機関を直撃か!」などという文字も躍る。幸い月曜日は午前クラスの担当だったため、ごく普通に学校に行き、授業後はサッと出欠と授業記録の入力を済ませて家路についた。学校では、その段階で「午後クラスは30分早く切り上げて、急いで帰宅するように」というアナウンスがあり、緊張が走る。
いつもより早めに学校を出て、最寄りの駅に着いてから私が向かったのは、お気に入りのカフェだ。駅から家への途中にあるこのカフェの手前あたりで、雪の降り方も本格的になってきたので、「雨宿り」ならぬ「雪宿り」することにしたのだ。カフェの窓から見える雪は、「今日は思い切り降っちゃうよ」と宣戦布告しているようである。「あー、明日はオンラインかなあ」と思っていた、ちょうどそのときに学校からの連絡で、翌日は午前クラスだけオンライン授業になったことを知った。
天気予報を考えれば、通勤時に雪の影響を受けずに済むのだから、喜ぶべきなのだろう。が、どうもオンライン授業が苦手である。コロナ禍のように「オンラインが日常」の状況であれば仕方ないのだが、もともと得意ではない上に、すっかり「非日常」になってしまったので、操作が問題なくできるのか、という不安もある。もし何かトラブルが起きたら…と心配は尽きない。というわけで、私は迷わずに翌日は学校にてオンライン授業を行うと決め、「這ってでも、まいります」と教務に伝えた。
そして、翌日の朝。結局、午前クラス担当の非常勤講師で、学校でのオンライン授業を選んだのは私一人だった。やってみれば、他には誰もいない教室で一人、パソコンの画面に向かって授業をする、というのもなかなか気持ちのいいものだ。おそらく、またこのようなことがあったら、私は迷わずに学校に向かうだろう。本当に這ってでも行ってしまいそうで、ちょっと怖い気がするのだが。
さて、話かわって、最近のうれしい話。最寄りの駅前にある書店が「1月8日をもって閉店」というニュースが流れたのは、去年の11月だった。ちょうど私が上京したころにできた、大好きな書店。よくふらりと立ち寄っていたので、その閉店は本当にショックで、大げさではなく泣いた。事態が大きく動いたのは年末のこと。なんと、大手の書店がその場所で2月中旬から営業を続けてくれることになった、というニュースが飛び込んできた。「街から書店を消してはいけない」と、多くの人が動いたらしい。大げさではなく、また泣いた。閉店も1月31日まで延び、希望するスタッフは、そのまま新しい書店で働くことができるという。最終日の夜、店内は多くの客で賑わっていた。看板を撮影する人も多い。店名は変わってしまうけれど、街に書店がある…その幸せをかみしめている。