No.182 桜の開花と「お茶サラダ」
2024/04/15
今年も3月の卒業式シーズンに東京は桜が満開…という予想は外れ、4月の入学式シーズンにやっと満開を迎えた。それはそれで、来日したばかりの新入生には素敵なサプライズになったようだ。
私が担当する準備教育課程も春の新入生を迎えて、1つクラスが増えた。ミャンマーを中心に、マレーシア、中国、ベトナムといったオール・アジアのクラスだ。開講直後の担当初日には、簡単な自己紹介をしてもらいながら、いろいろ質問をしてみた。日本の桜について感想を聞いてみると、「とてもきれいです!」という目が、なんだかキラキラしている。また、自国のおすすめ料理を聞いたところ、ミャンマーの学生たちが満面の笑みで、声を揃えて挙げたのは「お茶サラダ」だった。
ミャンマー料理といえば、「モヒンガー」という、米粉を使った麺料理が知られているが、はて「お茶サラダ」とは…。私事であるが、ここ数年、ダイエットのために晩ごはんをサラダ中心にしているので、「お茶サラダ」は名前からして気になる。そろそろバリエーションも増やしたいと思っていたときの「○○サラダ」である。「これはカラダによさそう!」と思ったそのとき、誰かがポツリと言った。「でも、油がいっぱいです」。授業後にネットで検索してみると、発酵茶葉と野菜を使った「お茶の葉サラダ」という料理で、たしかに「油たっぷり」がおいしいようだ。ランチならば可、か。
とにかく、その国を知るには、まず「食文化」から。まだまだ学生の国について未知が多い。幸い東京にはいろんな国の料理が集まっている。「お茶サラダ」も試してみる価値はありそうだ。
準備教育課程は他に2つ、新クラスの「先輩」にあたるクラスがある。その先輩クラスは今学期から日本語に加えて、「英語」「数学」「公民」の勉強がスタートした。彼らにとって、なかなかタフな日々になりそうだが、お互いに助け合い、励まし合いながら、ぜひ目標を達成してほしいと思う。
さて、この春、私たち日本語教師にとっても大きな動きがあった。以前からニュースなどでも取り上げられている「登録日本語教員」制である。その資格取得方法に関してようやく詳細が決定し、新学期開始に先立って開かれた担当者会議で説明を受けた。日本語教師養成講座修了、日本語教育能力検定試験合格、日本語教師としての経験など、教師それぞれの条件により、資格取得のために何をしなければならないか…それが、簡潔に示されているプリントも配付された。6つのパターンがあり、自分がどれに該当するかを知ることで、必要な研修や試験が一目でわかる。これはありがたい。
この件について個人的には、制度が変わるという話を聞いてからずっと、スッキリしない思いを抱えていた。だが、モヤモヤしていた視界が一気に晴れたような気がする。「道」がどれくらい長いかわからないが、ま、がんばってみるか。やはり、桜は、人を前向きにする力があるらしい。