No.184 気になるお隣さん
2024/06/14
6月6日の夜、サッカーのワールドカップ・アジア2次予選が気になって、チャンネルを合わせた。この日、日本代表の対戦相手はミャンマー代表である。サッカーに詳しいわけではなく、以前ならば、さほど気にならなかっただろうが、準備教育課程で多くのミャンマー人留学生と接している今では、すっかり身近な国である。試合会場がミャンマーのヤンゴンというのも興味をひかれる。当日夜も28°Cを下らないという「熱さ」が、テレビ画面を通して伝わってきた。陰ながらミャンマー代表を応援したものの、結果は5-0で日本代表の勝利に終わった。それにしても、勝敗はともかく、こんなふうに、いつの間にか身近に感じる国が増えていくのは、日本語教師ならではかもしれない。
ところで、学校の授業では各クラスの使用教室は固定ではなく変わるが、準備教育課程は学期中ずっと固定され、午前クラスの「23年春開講クラス=23S」と「24年春開講クラス=24S」の教室はいつも隣同士だ。彼らの来日は丸1年違いで、学習進度も異なるが、どちらもミャンマー人留学生が多く、「幼なじみ同士」という学生たちも少なくない。彼らがこの春1年ぶりに再会できたときは実に嬉しそうで、授業が終わると合流し、仲良く帰っていく様子は微笑ましいものがある。
ちなみに私は、火曜日に23S、水曜日に24Sを担当している。授業の際は換気を考慮して、聴解など大きな音を出す授業以外は、教室後ろのドアや窓を開けているのだが、水曜日の休み時間になると、ひょっこり24Sの教室を覗きにくる学生がいる。だいたいの場合、前日の私の授業に欠席した学生が、罪の意識か「すみませんでした。昨日は…」と言い訳にやってくるのだ。そのときの、まるで「ヨッ、先生!」というような軽い挨拶に反省の色はほぼ見られない。私は内心、欠席を反省しているわけではなく、「お隣さん」が気になって様子を見に来るのではないかと思っている。
実際、この2クラスのミャンマー人留学生は、クラスによってキャラクターが大きく異なるのだ。「後輩クラス」のほうが、何事に関しても反応がとても大きく、あえて懐かしい表現で言えば、男女問わず「キャピキャピ」していて、授業中でもほんの小さなことでよく笑いが起きる。一方、「先輩クラス」のほうは各自マイペースなのか、反応薄く、そして「ゆる~く」時間が過ぎていくのだ。
この前の水曜日も、「先輩クラス」で授業していた同僚に「そちらの授業、楽しそうでしたねー」などと言われたのだが、私が盛り上げたわけではなく、学生が自分たちで盛り上がっているだけなのである。が、もしかしたら、そんな笑い声を聞いて、「お隣さん」が気になっている「先輩」もいるのかもしれない。たしかに、国を離れて遠い日本へ留学している彼らが、この学校で会うのも「縁」だ。幼なじみではなくても、「お隣さん同士」として、今後もぜひ切磋琢磨してほしいものである。