No.200 うしろ姿は語る | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.200 うしろ姿は語る

2025/10/17

祝200回

長い秋休みが終わり、10月期の授業が始まった。今期の担当は、留学クラスが2つと、引き続き準備教育課程クラス。準備教育課程のほうは、すでにお馴染みの学生ばかりなのだが、前期と大きく変わったのは、2つだったクラスが1つに合併されたことである。これまでも交流はあるものの、完全に同じクラスとなるとまた教室の空気も変わるはずだ。担当初日は少し心配していたが、思ったよりも皆元気そうで、ひと安心。とにかく、それぞれの夢に向かってゴールまで頑張ってほしい。

さて、テレビなどでは『大相撲ロンドン公演』が話題を呼んでいる。実に34年ぶりのロンドン公演とのことで、現地での様子を見ると、人々が人気力士と満面の笑みで写真におさまる姿があり、ロイヤル・アルバート・ホールのチケットもあっという間に完売したという。まさに「満員御礼」、異文化交流の模範のような大イベントである。長らく大相撲には縁がなかった私だが、ここ数年は2月の『大相撲トーナメント』を観戦し、今年はなんと9月、10月と続けて両国国技館に足を運んだ。9月は『大相撲九月場所』、そして10月には引退した某力士の断髪式&親方襲名披露である。

ありがたいことに、どちらも招待していただいたのだが、前者は初のマス席で自ずと気分が盛り上がる。そして、途中で幾人となく通路を行き交う着物姿の粋なお姉さんたちに「非日常」を感じたりもして、自国の文化ながら、まるで異文化に紛れ込んでしまったような不思議な空間だった。

一方、断髪式のほうは、まさに両国国技館の周りも館内も、インバウンドを絵に描いたような光景。私と同様に「一度断髪式を見てみたかった!」という友人とともに観戦したのだが、断髪式でプログラムにある予定時刻は大幅にオーバーしている。ぜひ最後まで見たい気もしたが、昼食を抜いてしまったことによる空腹感に勝つことができず、少し早めに会場を後にさせてもらうことにした。

そして、駅の近くに某ファミレスがあるといいね、と友人がスマホで検索していたときのことだった。後ろから若い日本人の女の子が「大丈夫ですか」と声をかけてくれたのだが、通り過ぎる際に私たちを見て「あれ?」という表情になって静かに去っていった。その後、ファミレスで食事しながら、私が「きっと、あの子は私たちが道に迷ってる外国人のおばさんだと思ったんじゃない?」と言うと、友人も「まちがいない!」と言う。身長170センチを超える友人と、茶髪の私…きっと、その日のインバウンド的な両国の空気も相まって、私たちのうしろ姿は日本人のそれではなかったのだろう。

それで一つ思い出した。ロシアでの4年間の生活を終えて帰国した後、しばらくして姉がポツリと言った。「やっと、以前のうしろ姿に戻ったね」と。聞けば、現地での食生活のためか、帰国直後は「だれ?」というような貫禄だったという。どうも、うしろ姿は、思っている以上に雄弁らしい。

うしろ姿は語る