No.125 オンラインとマスク
2020/05/21
外出自粛が続き、外に出る目的もほぼ「食料および生活必需品の買い出しと散歩」に限定された生活を送っていた。そして、マスクが必須である。マスクといえば、私は以前『マスクの人々』と題し、「マスクをする習慣がない者」として、日本人とマスクについて思うことをあれこれ綴ったことがある(№78)。あれから、ちょうど2年。まさか、こういう形で、自分も日常的にマスクにお世話になるとは、あのときはまったく予想できなかった。マスクさん、ありがとう。そして、あのときは申し訳なかったと、姿勢を正して謝りたい気持ちでいっぱいである。
マスク生活を続けてみて、なんと言ってもありがたいのは、メイクをせずに外出できることだ。まだ慣れていないときは、とりあえずメイクをしていたのだが、ある日「果たして、この外出にメイクは必要か」と気づき、顔をすっぽりマスクで覆って家を出る。おそらく、初めからそうしている人も多いのだろうが、それさえ気づかないほどマスク初心者だったのだ。
さて、そんな自粛生活が長くなり、すっかり読書三昧&テレビ三昧の日々だったのだが、ようやく学校のオンライン授業が始まった。すでに4月中旬から講師向けに練習会が行われており、GWを挟んで専任講師による授業がスタート。それを引き継いで5月11日から、いよいよ私たちの出番…となったのである。その初日。いきなりの不運が私を襲った。9時半スタートの授業にスムーズにサインインせねばと、早めにパソコンに向かい待機…まではよかった。
ところが、いざ開始!というときになって、突然カメラとマイクが感知しなくなってしまったのである。こんなことは、これまでの練習会などでも経験はない。いったい何が起きているのか、頭が真っ白になり、何度もクリックするが反応しない。結局、ジタバタするのはやめ、パソコンを再起動。それまではスマホを使って何とか繋ぎ、そうこうしているうちにパソコンが復活。この間15分ほどだったと思うが、1時間にも感じた。オンライン授業の洗礼である。
肝心の授業だが、これがけっこう面白い。もちろん、教室の授業とは異なり、できることも制限されてしまうが、その中で何ができるかを考えながら進めていくのも、また新鮮な経験である。あるクラスで「自粛が終わったら、まず何をしたいか」を聞いてみたところ、「髪を切りに行きたい」「一時帰国したい」「カラオケをしたい」などの声があり、中には「今の生活のほうがラクでいい」という学生もいたが、みんなの表情が思いのほか明るかったので安心した。
とりあえずは、教室で会える日まで。ただ、このマスク生活に慣れすぎて、うっかりノーメイクでオンライン授業に臨んでしまうのではないか、というのが目下の心配である。