No.186 熱いパリ、暑いニッポン | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.186 熱いパリ、暑いニッポン

2024/08/19

これを書いている今、パリオリンピックも折り返し、テレビ局は感動シーンでその前半を振り返っている。東京オリンピックが無観客だったこともあり、久しぶりの会場の観客たちのパフォーマンスや声援も込みでの映像は、やはり見ていて面白い。特に、私が今大会の種目の中で初めてハマったのが「スケートボード」の「ストリート」である。東京で初めて採用された種目で、当時はほとんど見た記憶がないのだが、今回は時差があっても、かろうじて見られる時間だったこともあって軽い気持ちで見始めた。おばさんとスケートボード。自分でもちょっと笑ってしまうが、あまりに縁遠いだけに、「ラン」も「ベストトリック」も実に新鮮である。気がつくと、すっかり引き込まれていた。

それにしても、日本勢は強かった。もちろん、想像を超える努力あってこその結果なのだろうが、何回か失敗した後、あの空気の中で自己ベストを出す精神力は「あっぱれ」である。特に女子は全員10代でメダリストの2人は14歳と15歳だが、インタビューでのクール&しっかりした対応には感心した。さすがに「ここ」と「りず」という名前についたルビには時代を感じたが、自分でも予想しなかったスケボーの魅力を知り、「いいもの見せてもらった!」という感謝でいっぱいである。

となると、この感動を誰かと共有したい。できれば、授業冒頭で「昨日のオリンピック、見た?」などというフリで軽く盛り上がりたいところだが、だいたいその期待はあっけなく消える。そもそも今はテレビがない学生が多い。そして、もしテレビがあったとしても、オリンピックには興味がない…ように見える。もちろん、日々の勉強やアルバイトなどで忙しいということもあるだろうが、私自身が海外で暮らしていたときは、「もうすぐオリンピックだ!」とわくわくしたことを思うと、なんだか学生たちがとてもクールに見える。昭和のテレビ世代、テレビっ子としては少し寂しい。

さて、全国で記録的な猛暑が続いている。例年は猛暑日がほとんどない沖縄も、今年はすでに記録したそうだ。学校はお盆休みに入るが、それが終わると、月末にはARCのスピーチ大会が開かれる。昨年と同じ会場で、今年も『異文化としての日本』をテーマに学生たちがスピーチを披露する。今回は初めて京都校からも2名出場するとのことで、「東京校」「新宿校」「京都校」が賑やかに揃う。

スピーチを行うのは6組以上の代表。私が担当している準備教育課程のうち、去年の春と秋に開講したクラスからも1名ずつ出場するべく、先日クラス内の「予選」が行われたが、『異文化』というテーマで書くのは、実はとても難しい。内容的にすでに「発表」されてしまっていることが多いからだ。そうした意味では、文章の上手さよりも、発想で「そうきたか!」という学生が選ばれたように思う。本番は8月30日。もちろん、私も応援に行くつもりだ。ぜひ、熱い大会を期待したい。