No.190 おみくじと福の神 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.190 おみくじと福の神

2024/12/13

12月6日の金曜日。担当している4クラスが、東京タワーと増上寺への校外学習に出かけた。と書くと、まるで私も同行したかのようだが、私自身は担任ではないので引率も同行もしていない。が、その私まで嬉しくなるくらい天気に恵まれ、12月とは思えないようなポカポカ陽気であった。これまで学校行事というと、なぜか天候には恵まれず、たしか前回の校外学習もけっこうな悪天だったと記憶している。スピーチ大会の日もしかり。それを思えば、今回は好天というだけで大成功だ。

翌週、学生に校外学習はどうだったかを聞いてみると、やはり「楽しかった」と笑顔で答える学生が多く、「富士山が見えた!」と言いながら、撮った写真の数々を見せてくれた学生もいた。東京タワーもさまざまな角度でシャッターを切っている。みんな、いい思い出づくりができたようだ。

今回のメインは東京タワーかと勝手に思っていたのだが、印象に残ったこととして、増上寺で引いた「おみくじ」について話してくれる学生も多かった。あるクラスでは、「中吉」を引いた学生がその内容を見せてくれたが、「待ち人」に書かれている「来るでしょう」という文言が気になった様子。

その学生に、「『来るでしょう』って、ぜったいに来るんですか」と聞かれ、思わず「たぶん来ますよ、大丈夫」などと根拠なく答えてしまったが、どうか、私がウソつきにならぬよう祈っている。

続いて一人、「僕も引きました!」と嬉しそうに言って、ガサゴソとかばんの中を探し始めた。おみくじが出てくるまで少し時間がかかりそうだったので、ふと思いつき、ボードに「凶」と書いて、「もし『凶』を引いても大丈夫」という話をしてみた。「今が悪くても、そこからグーンと運が上がるから」と説明し、ようやく出てきたその学生のおみくじを見ると、まさかの「凶」。2度見直したが、やはり「凶」であった。彼は「凶」の意味を知らなかったようで、ニコニコ顔。しかも、幸い彼は早々に志望校の合格を決めている。学生を落ち込ませずに済んで、ほっと胸をなで下ろした。

また、他のクラスでは、おみくじに入っている「あるもの」について質問を受けた。このおみくじには、それぞれ「大黒天」や「弁財天」といった神様の小さなお守りが入っているのだ。ある学生は、自分が引いたおみくじといっしょに、お父さんが20年前に日本で引いたというおみくじを見せてくれた。そこには「お多福」のお守りが添えられており、紙はさすがに少し古びていたが、「お多福」は20年の歳月を経てなお光っている。お守りに込められた親子の絆に、私もちょっと感動した。

こんなふうにおみくじで運を試しつつも、まだまだ多くの学生には「合格」という大きな目標が待っている。なかなか思い通りにいかない学生もいるけれど、頑張った人みんなに、福がたくさん訪れますように。そして何より、来る2025年の幕開きが、穏やかで平和な日々でありますように。

おみくじと福の神