No.192 早春になれば
2025/02/25
今年もあとわずかで卒業式を迎える。そして、その前に今年度ラストの校外学習が行われた。バス13台を借り切ってのまさに一大イベントで、目指すは千葉県のマザー牧場である。その数日前から、学生も少し落ち着かない様子で、会話に「食べ放題」という言葉もちらほら聞こえてきた。そう、お昼はみんな一緒にジンギスカンの食べ放題が楽しめるとあっては、ソワソワするのも仕方ない。
この季節、気温の差が激しい日が続くのだが、幸い当日は大当たりの快晴。しかも、気温も上昇してまさにアウトドア日和であった。ちなみに、私は今回も引率していないのだが、学生も気を遣ってか「先生も行きますか」と聞いてくれることがある。私は行かない旨を伝えたところ、ある学生がすかさず「…パンダがいないから?」と笑いながら言う。私のパンダ好きも浸透したものである。
さて、金曜日に校外学習が行われて、初めての週明けの授業。学生たちにその感想を聞いてみた。すると、満面の笑みで「楽しかった」と答えながら、写真を見せてくれた。肉と野菜が山盛りのジンギスカン鍋を楽しむ様子はもちろん、羊やカピバラなど動物たちと触れ合ったり、エサやりに挑戦している姿など、楽しそうなショットがどんどん出てくる。また、「名前はわからないけど、乗り物にも乗りました」と言うので写真を見せてもらうと、「観覧車」であった。学生の国にも観覧車はあるが、回転が速くて2周もするとのこと。これはスピードも高い所も苦手な私には無理そうだ。
ところで、この日は午前クラス・午後クラス関係なく、朝8時40分に集合であった。午前クラスの学生にとっては「いつもより少し早起き」程度で間に合うが、午後クラスの学生にとっては、おそらく早起き自体が大変な覚悟である。前日に「寝ると起きられないので寝ないで行く」と言っていた、実に心配な学生がいたのだが、実際に眠そうな顔で現れ、バスで爆睡していたとのことだった。
2月上旬、こんなイベントもあった。両国国技館での『日本大相撲トーナメント』だ。相撲を会場で見てみたいという希望者向けで、学生も教師もイス席が少し安く手に入るので、私も数年前から同僚と一緒に観覧している。こちらも3年前に、出場予定だった力士の多くが新型コロナウイルスに感染したため、直前に中止となった経緯がある。それだけに、会場に集まった多国籍の観客を眺めているだけで幸せな気分になってきた。近くの席の学生たちも、思い思いに盛り上がっていたようだ。
とにかく無事に校外学習が終了し、いよいよ卒業式だ。今年は3月11日。私が担当している4クラスのうち2クラスも巣立っていく。昨年同様、まだ進路が決まっていない学生も数名いるが、どうかみんな笑顔でその日を迎えてほしいものだ…と、ここまで書いて、あのコロナ禍を思う。校外学習や卒業式が当たり前に行える「日常」が戻ってきた幸せを、早春にしみじみと噛みしめている。