日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
検索カテゴリー
音声・音韻体系
登録日
2009年01月06日
問題
次の文章を読み、後の問いに答えよ。
日本語学習者にとって特殊拍の聞き取りや発音が難しいことはよく知られている。特殊拍の習得が困難である理由には、母語の影響以外の要因も関与している。その一例として、(1)が挙げられる。特殊拍はその名のとおり特殊性に富んでおり、自立拍に比べて複雑である。たとえば、特殊拍には語中位置の制約があるが、自立拍は語頭・語中・語末のどの位置にも現れる。特殊拍は語頭には現れないため、辞書にもこれらの拍で始まることばは見当たらない。また、特殊拍は音声環境にも応じてさまざまな異音として実現されるため、自立拍のように単独では決まった(2)を持たないという点も特殊である。「今晩(こんばん)」「今度(こんど)」「今回(こんかい)」では「ん」の調音点が後続音に同化して変化していることがわかる。
問1 | 文章中の下線部「特殊拍」に当てはまらないものを選べ。 | |||
1 促音 | 2 長音 | 3 拗音 | 4 撥音 | |
問2 | 文章中の(1)に入る最も適当なものを選べ。 | |||
1 結束性 | 2 孤立性 | 3 恣意性 | 4 有標性 | |
問3 | 文章中の(2)に入る最も適当なものを選べ。 | |||
1 音価 | 2 鼻音 | 3 短音 | 4 字音 | |
問4 | 語中の促音が他と異なるものを選べ。 | |||
1 いっこ(一個) | 2 いっさつ(一冊) | |||
3 いってん(一点) | 4 いっぷん(一分) |
解答
問1 3
問2 4
問3 1
問4 2
問題解説
問1 | 単独で音節を構成する自立拍に対して、単独で音節を構成しない撥音、促音、長音を特殊という。 |
問2 | 同種のものごとを表すとき、はっきりとした特徴を持つものを有標。普通に使われ、ある特徴を積極的に表さないものを無標という。本問では、特殊拍を有標、自立拍を無標とみなす。 |
問3 | 音価とは、文字の一つ一つに対応する具体的な音のこと。自立拍は決まった音価を持つが、特殊拍は決まった音価を持たない。 |
問4 | 無声歯茎摩擦音[s]の前では、破裂音のように1拍分待機するというよりは、1拍分発音しながら後続子音に移っている。 |