日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
検索カテゴリー
言語習得・発達
登録日
2007年02月21日
問題
次の文章を読み、各問いに答えよ。
近年、学習環境において様々な実践が展開され、教師中心の指導から学習者中心の指導がより重視されるようになってきた。その骨格をなす理論として構成主義がある。
学習者個人が能動的に環境に働きかけ、学習し発達していくと同時に知識を構成していくという学習環境の基盤の確立には、( ① )の構成主義、認知発達理論の貢献が大きい。
その後、情報化、国際化、環境問題など地球規模の課題への教育の取り組みと、日常生活の重視もあって、学習環境は学校を超えて、地域の図書館、博物館などから、情報ネットワークを介して外国にも及びつつある。
そこには、人間同士の協力を強調する社会構成主義やヴィゴツキーによる社会文化的アプローチの理論がある。そこで、学習指導においては、特に、グループ学習、共同学習、協調学習が盛んになり、学習者同士の協力による問題解決や知識構成が目指されている。
問1) 文章中の( ① )に入る最も適当なものを選べ。
1. サルトル 2. ピアジェ 3. フーコー 4. バフチン
問2) 文章中の下線部の考え方とは関係が薄いと思われるものはどれか。
1. 自己中心性 2. 高次精神機能 3. 発達最近接領域 4. ピア・ラーニング
解答
問1) 2
問2) 1
問題解説
問1) | スイスの心理学者。ピアジェは、自己中心性などの子どもの思考の特質を研究。次いで乳児期からの知能や思考の発達過程を分析。のち、発生的認識論を構築し、新教育運動に寄与した。 |
問2) | ヴィゴツキーは、子どもの発達の社会的、文化的側面に注目した。まず初めに社会的諸関係や共同主観としてあったものが、個人に内化され、個人の精神機能に転化するという考え方である。そこから子どもの言語についても、最初はコミュニケーションの道具としてあった言葉が次第に思考の道具になっていくのだと考え、ピアジェの自己中心語という考え方に反対した。さらに、発達と教育の関係を考えることを通して「発達の最近接領域」という概念を提唱するようになった。 |