日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
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総合問題
登録日
2010年06月01日
問題
次の文章を読み、各問に答えよ。
人間関係の相互依存と調和を重視する日本の文化では、話し手はなるべく相手の立場を考えて含蓄に富む曖昧な表現に終始することが望ましいと考えられている。
日米両文化のレトリックにおいてメッセージと修辞に見られる違いは、英国の社会言語学者バーンスタインが、中流階級と労働者階級の子どもの言語行動を調べた結果、提示した A精密コードと制限コードへの依存度からも説明できる。
米国のように個人がバラバラに分断され、異質性に富む文化では、メンバー間に基本的な前提が共有されていないために、話し手は( ア )を最大限に使用して明確なメッセージを構築して、自らの主張を相手に受け入れさせる必要がある。言い換えれば、米国型の話し手は、バーンスタインのいう精密コードを目一杯使って説得しなければならない。
これとは対照的に B日本のようにメンバー同士が共通の絆で結ばれ、情報がかなり共有されている文化では、コミュニケーション行動のかなりの部分があらかじめ規定されているために、言語コードに頼る必要は希薄である。
問1) | 文章中の下線部Aの説明として、不適当なものを選べ。
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問2) | 文章中の( ア )にはいる最も適当なものを選べ。
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問3) | 文章中の下線部Bを表すキーワードとして最も適当なものを選べ。
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解答
問1) 2
問2) 3
問3) 3
問題解説
問1) | 学校教育の現場では、一般に抽象的な概念を論理的に構成する精密コードが多用される。 |
問2) | バーバルとは、語、言葉、言語による情報伝達のこと。 |
問3) | エドワード.T.ホールによる。全てのコミュニケーションは、コンテキスト(文脈)により語らなければならない。米国のように伝統がなく、多民族の集まりの国は低コンテキスト、すなわち、逐一言葉で主張されなければならない。一方、日本では「以心伝心」に代表されるように、みなまで言わず「察する」のが礼儀とされる。 |