日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
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総合問題
登録日
2014年09月23日
問題
*この問題は2005年に掲載した問題の再掲載となります。申し訳ありませんが、ご了承ください。
次の文章は、中上級の語彙・表現指導について述べたものである。(1)~(5)に入る適当なものを、それぞれ選べ。
◇ 中・上級の教育は、学習者それぞれの(1)に合わせるのが有効である。特に語彙・表現の面では、強くそれが望まれる。
「語彙教育」の特殊性は、日本語を母語として話す者と外国人学習者の差が、音声面や文法面に比べて小さいということである。日本語を母語とする者でも、語彙は生活が変わるにつれて絶えず新しいものを取り入れていく。世代による違いも音声や語法による違いよりも大きい。日本人でも日本語の語彙はかなり「意識的に学習」しているのである。
◇ 指導の際には、必ず(2)を添えること。
語の意義を説明する場合、日本語に置き換えるにしても、英語その他の外国語を当てるにしても、多少のズレが伴う。(3)の類はその狂いが比較的少ないが、(3)の性格によっても異なる。
◇ 中・上級の語彙・表現学習の難しさ
日本語学習の初級の段階では「会話」が優先されて授業が組み立てられることが多いのに対して、中・上級では「(4)」を中心として組まれることが多い。その結果、「話し言葉」、「書き言葉」の両方が学習領域として混ざることになる。学習者は、この二つを覚え分けて、適切な場面で遣えるようにならなければならない。
語種別に見ても「漢語」「和語」「外来語」「混種語」の4種が、制限なく登場する。漢語の習得は漢字学習に負うところが多く、非漢字圏の学習者が苦労する所以である。また「(5)」は、その使い方が難しいので、特に注意を要する。
(1): 1. 必要性 2. 汎用性 3. 個性 4. 希望
(2): 1. 翻訳 2. 文脈 3. 談話 4. 語彙表
(3): 1. 慣用句 2. 副詞 3. 動詞 4. 名詞
(4): 1. 読解 2. 作文 3. 聴解 4. 会話
(5): 1. 漢語 2. 和語 3. 外来語 4. 混種語
解答
(1) 1
(2) 2
(3) 4
(4) 1
(5) 2
問題解説
たとえば「~だけ」と「~しか」の使い分けの基準。
・ 冷蔵庫の中に野菜だけがある。
・ 冷蔵庫の中に野菜しかない。
この二つの文を比較する。冷蔵庫の中に存在するものという客観的事実はどちらの文でも変わらない。但し、その使い方を見てみると、「だけ」では、客観的な事実を述べているのに対して、「しか~ない」の場合は、その他のものもあるのを期待したのにという話者の失望感が表面に出てくる。つまり、評価という点において、この二つの表現の使い分けが行われているのである。