記述でつまづき、記述で救われる (坪井 明)

2010/04/01

教育能力検定試験、今回は二度目の挑戦でした。以前から退職後は日本語教師になるイメージを持っていたので、通信教育で一通りのことを勉強していました。一度目の試験(平成21年10月)は、その勉強の勢いもあり自分でもかなり出来たという手ごたえがあったのですが、結果は不合格でした。通知状に表示されていた得点で分かったのですが、試験3の記述式問題で1点しか取れていませんでした。

この年の記述式問題の平均点は14点という高得点でもあったので、ここで1点しか取れなかったことはお粗末であり、かつ致命的でした。問題の答えを「・・に代わって差し上げます」と謙譲表現にしたのですが、相手が目上の場合はそうした表現はおしつけがましくなるので不適切、ということでした(今年アークで受講して知りましたが、アークの文法の教科書にはこの部分を丁寧かつ明確に書いてありました!)。文法項目の理解不足でもありましたし、記述式の問題は億劫で面倒だな、と勉強を後回しにしてきたつけでもありました。

このことがあって、検定の試験対策としては理論だけでは十分でなく実践に裏打ちされた知識が必要なのだろうと、大いに反省したものです。そこで去年の7月からアークで420時間を受講することにしました。7-9月期で初級指導編、教室活動という実技を受講しましたが、初級の学習者に対しては教師として使用できる文型や語彙が限られているということを「みんなの日本語」という教科書を通して実感しました。

また教室活動では、学習者が主体となり自らが学習を主導することが重要であると認識できました。今年の検定試験、記述式問題ではアークの実技を受講したからこそ解答文をうまく書けたと思います。マーク式問題ではそこそこの得点だったので、結果的に記述式問題での得点差が自分を合格に導いてくれたのだと痛感しています。つまり、検定試験第一回目は記述式問題でつまずいて不合格となり、第二回目では記述式問題で救われて合格できたというわけで、アークの先生方に大いに感謝申し上げます。

日々の授業にまじめに取り組んで、先生方が指導して下さるポイントをしっかりと抑えておくことが検定対策の第一歩であることを確信する次第です。そのほかに試験勉強として有効だと思ったことを以下に挙げておきます。

1.検定試験過去問題集
16年から20年までの5年分。試験1,3は問題ごとに付箋紙を貼り、項目を「教材作成」「学習ストラテジー」「語彙・メタファー」「帰国子女」、などと自分で分類し見出しを書いておきました。こうすることで試験の出題項目が一覧できるようになるし、得意・不得意分野も整理できます。特に不出来だった項目は赤でマーカーしておき、何度も繰り返し確認しました。さらに4択のなかで正解以外の選択肢についても意味・内容を確認しながら、理解を一層深めるようにしました。

2.アーク用語集

項目ごとに解説されているので、とにかくまるごと熟読しました。過去問題で理解が不確かな語に出会ったときもこの用語集に立ち返り、問題と用語を照らしあわせながら再確認しました。また、用語集に出てくる用語で重要と思われるものはネットで検索してみるとより多くの周辺情報が得られるので、ポイントを用語集に書き足していきました。

3.記述式問題50(アルク)
練習問題が50題ですが、それ以外にも設問があってかなりボリュームがあります。2-3ヶ月の余裕をもって始めましたが、問題数が多いので設問(字数制限など)どおりに解答を書き出せたのは三分の一以下。その後は問題の解答例、特に解説を精読してページの余白にポイントを書き出しました。あとで全問題についてそれぞれのポイントを確認しながら、解説を読み理解を積み上げていく作業を繰り返しました。
4.全重要語チェック集(双文社)
アークの用語集にくらべて項目ごとの説明がコンパクトになされているので試験1-2ヶ月前に自分の理解度をチェックするのに利用しました。「仲間はずれ100題」は5択の問題ですが、用語法のチェックに役立ちました。

5.日本語文法の要点(くろしお出版)
題名のとおり、要点をまとめた文法書です。対象が英語話者になっているので文法用語が一部英語で表記されていました。日本語表記で分かりにくいポイントが却って理解しやすくなるというメリットもありました。7-8月の試験対策開始前に読み上げてしまうといいと思います。

今年度から試験内容が変わると言われていますが、どう変わるかあれこれ悩んでも始まりません。試験対策としては、自分のウィークポイントを早めに確認して平均点は取れる程度に修正しておく必要があります。なぜなら、来年度も検定試験が集団準拠テストであれば相対評価となるため、平均点からどれだけ得点できるかが重要となるからです。今回の検定試験では標準偏差が約14と発表されました。これは、正規分布しているとすれば平均点から上位14点以内に受験者(上位60%)の約34%(1200人)がいることを示しています。つまり得点1点につき平均で約80人、平均点近くでは一点につき100人もの受験者がひしめいているといえるのです。検定試験を受験すると決めたなら、その覚悟を本番の当日に向けて持続させることが大切だと思います。

最後に、受験場が決まったら一度下見をしておくといいです。特にトイレや休憩する場所など事前確認も大切です。また本番では、チョコ・飴・目薬など、試験は長時間で頭脳と目が疲労するため、必携アイテムでした。

坪井 明さん

日本語教育能力検定試験
第24回 平成22年度 合格