もともと教育者志望だった私にとっては、毎日が楽しく、しかも新鮮で刺激的です
2015/11/08
長谷川 悟司さん
大学時代、教師になりたいと考えていました。ただ、それは漠然とした想いで、いったい何を教えたいのかはっきりしないままでした。転機となったのは、塾講師のアルバイトです。そこでは国語を教えていました。日本語文法のルールや成り立ちなどを勉強しているうちに、だんだん日本語そのものを勉強するのが面白くなってきたんです。もともと教育者志望だったこともあり、日本語そのものを教える仕事はないだろうかと情報を集めはじめました。そして、これだ!と見つけたのが、日本語教師という仕事です。
まわりから 「日本語教師だと収入は安定しないんじゃないか?」 などと言われることもあり、卒業してどのくらい修行期間を経ればフルタイムの仕事を得られるのだろう、という不安もありました。でも、いざとなれば海外で日本語教師の武者修行という手もあるだろうと気楽に考えていたんです。
大学を卒業してすぐアークに入学し、ちょうど1年で卒業しました。その後、とある日本語学校に非常勤で勤務しました。はじめは週1~3コマだけです。非常勤の働き方は2種類あって、ひとつは複数の学校を掛け持ちして勤務量を増やす方法、もうひとつは、日本語教師とは別にアルバイトで稼ぐ方法です。私はアルバイトを選択しました。自分とベテラン教師の方々との実力差を痛感しておりまして、少なめの授業に全力投球しながら時間をかけてじっくり成長していこうと考えたからです。
ところが半年たらずで、常勤、つまり専任教師のお話が舞い込んできたのです。経験不足のため、引き受けるかどうか非常に迷ったのですが、プロ教師として生計を立てようとしていた私にとっては願ってもないチャンスなため、思い切ってやってみることにしました。それからの1年は必死でしたね。少しでも先輩達との差を縮め、留学生のみなさんによい授業を受けていただけるように、と。
- 2003年からアークで働き始めました。通常の教壇授業に加え、進路指導を担当しております。日本は、アニメーションやゲーム、災害対策、電子産業など諸分野で、アジアのみならず世界をリードしています。日本語が好きとか、ビジネスに有利だからという理由だけではなく、そういった専門分野の勉強を日本でやってみたいという動機で日本語を学んでいらっしゃる留学生も多いんです。アニメーションひとつとっても、私には未知の世界ですから大変です。どんな大学・専門学校を推薦すればよいか調べるため、私自身がいろんな勉強をしています。知らないことだらけで、進学シーズンは目が回りそうです。
まだ自分探しの旅を続けている留学生と面談し、いっしょになって将来のプランを考えるのも大事な仕事です。その人の未来の一翼を担っていると考えれば大きな責任を感じますが、もともと教育者志望だった、どちらかというと世話好きな私にとっては、毎日が楽しく、しかも新鮮で刺激的です。
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日本語教師の世界は、女性が大半です。男性であることで、大変なこともあれば、有利なこともあります。ステレオタイプなことを言えば、女性的な優しさだけではなく、男性的な力強さが教師に求められることも多いので、専任教師として就職するチャンスは十分にあると思いますね。
給与については、専任教師として就職する学校が、企業としての雇用体系が確立しているかどうかに密接な関係があると思います。男女問わず、生計をちゃんと立てようと考えるなら、就職する先の学校についてよく調べる、仕事内容だけではなく給与のこともよく話し合う、自分の価値を高めるために専門職として腕を磨くといった、一般の就職活動と全く同じ考え方が必要なわけです。もちろん、まだまだ職業としての認知度が低い職種ですので、大変でないといえば嘘になります。しかし、これだけ充実感と達成感がある仕事ですので、少なくとも私は、日本語教師を職業に選んで本当に良かったと思っています。
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