No.95 おみくじの助言
2019/02/08
早いもので今年も1か月が過ぎた。中国やベトナムなどでは旧暦で正月を祝うため、年末年始に帰国せず日本で過ごした学生たちは、二度目の正月を迎えるわけだ。今年は2月5日。日本で暮らしていても、やはり自国の正月はまた格別なのだろう。毎年のことながら、それが近づくと何となく学生たちはそわそわしてくる。もっとも、日本の正月もそれなりに楽しんでいたようで、明治神宮や浅草寺はもちろん、ローカルな神社まで、初詣に行ったという学生も少なくない。
初詣と言えば、やはり賽銭は欠かせない。下世話ながら、いくら賽銭箱に入れたのかと聞いてみると、「ご縁」との語呂合わせを知っていて「5円入れました」という学生もいれば、「5円は少ないので55円」「ちょうど財布にあったので100円」などさまざま。中には、他の参拝客が気前よく「札」を投げ入れているのを見て、自分の金額では足りないのかと慌てたという学生もいた。賽銭をケチって自分の祈願が届かなかったらどうしよう…と心配したのだろうか。私が「賽銭は金額じゃありません。気持ちですよ」と伝えると、ほっとしたような表情に変わった。
私自身は毎年、故郷で小さな神社へ初詣に行き、そこでおみくじを引いて熊手を買う。今年のおみくじは、嬉しいことに「大吉」だった。ちなみに去年は「吉」で、可もなく不可もなくといった内容だったが、今年は総合的にありがたい文言がずらりと並んでいる。ただし、「驕り高ぶることのないように」とある。だからというわけではないが、今年に入って心がけていることがある。「口角を上げること」である。といっても、アンチエイジングのために口周りの筋肉を鍛える云々…ではない。心のスイッチを調整して、謙虚な気持ちで日々を過ごすということである。
というのも、最近自分で「今、もしや不機嫌そうな表情になっているのではないか」と思うことが増えているからだ。例えば、コンビニのレジに行列ができて待っているとき、一瞬でも「早くしてよ」と言わんばかりの顔になっていないか。忙しいときに、人に対してついつい無愛想になっていないかと、自分にチェックを入れる。もし自覚があったら、ちょっと口角を上げてみるのだ。それだけでスイッチがプラスに転じ、周りの空気が変わっていくような気がする。今学期は卒業につながる学期だ。既に春からの進路が決まり、授業中に心ここにあらずの学生もいる。が、そこは広い心を持って笑顔で送り出してあげたい。それが、私の当面の目標である。