ベトナムでの新しい挑戦 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

ベトナムでの新しい挑戦

2020/08/28

藤原 寛さん
藤原 寛さん
日本語教師養成講座
2015年7月卒業

日本語教師になるきっかけ

43年間のサラリーマン生活は、名古屋本社の某放送局に勤めました。退職後東京に戻り、これからどうしょうかと考えていたとき、大学時代の友人からベトナムに進出した日本企業で日本語と日本流の規律や習慣を現地社員に教えて欲しいと言われ、意を決して日本語教師の資格を取ることにしました。放送局時代は主に営業、事業畑で、広告代理店やスポンサーとの付き合い、ゴルフトーナメントやアイスショーなどのプロデユースをしてきた私に、人を教育することなんか出来るか少し不安でした。

 

アークアカデミーの日本語教師養成講座を終えて、しばらくは国内の日本語学校で非常勤講師として教えました。そこには、ベトナム、韓国、中国、ネパール、ウズベキスタンなど多くの国の留学生が来ていました。

 

学生は同じ国でも日本語がじょうずな人と、ほとんど話せない人がいました。彼らは日本に来る前、どんな日本語の教育を受けたのか知りたくなりました。そして、就職支援室に相談したところ、ベトナムから帰国する先生がいる機関があるとの事で、さっそく準備をして、ホーチミンにある「日本語センター」へ渡りました。

ベトナム現地で

現在は、ハノイの「送り出し機関」に在籍し日本語を教えています。「送り出し機関」は学校と言うより職業訓練所で、日本語は訓練の一環です。まず入室前に、特訓担当が日本語での挨拶や自己紹介を覚えさせます。就職先の企業ではこれが必須となるからです。そこから能力別、職種別(実習生が働ける職種は限定:食品加工、建設、農業、介護など15職種・29作業)にクラス分けされます。生徒は貧しい農村部からの男女が多く年齢もまちまち、全寮制で校内の生活はすべて軍隊式で、時間や規律はもとより体力もつけさせます。家族や親戚の期待を一身に受けて日本に行きます。このようなやり方が今の日本に合うかは、はなはだ疑問です。

 

現地での日本語教育は「日本語センター」と同様、文法、漢字はベトナム人先生が教え、日本人は日常会話を中心に教えます。難しいですが、発声やイントネーションも大切です。日本語の口の形で、大きくゆっくり話さないと日本人にはわからないことを伝えます。また、ベトナム人が過大評価している日本の現状もできる限り伝えます。日本語を教えることも大事ですが、将来ベトナムの若者たちがどう生きるのか「夢」を語り、一緒に考え、日本人の「心」まで伝えることが出来るかが私の課題だと思っています。

技能実習生の課題

技能実習生の問題は、生徒募集で取る現地ブローカーの多額の手数料、授業料や日本への渡航費など含めた費用を借金して来日します。日本側の「監理組合」は企業を紹介し、実習生の監理する役割ですが、企業の都合で残業未払い、不当解雇などの時あまり機能してないように思われます。日本政府は新しい入管法(特定技能)の制度を急ぐあまり不備な点も多く、成果に至っていません。更に、コロナで実習生が来日出来ず、実習生の労働力が頼りの業種が潰れる事態に至っています。今後ますます高齢化の進む日本社会は技能実習生無くしては成立しません。日本も真剣に考える時期に来ています。

 

2015年7月修了生 藤原 寛

 

ベトナム現地での様子