No.161 帰ってきたルール
2022/07/20
7月期が始まり、それに先立って「担当者会議」が開かれた。担当者会議は、もちろん新学期のあれこれを確認する機会なのであるが、本来なら、講師同士の「お久しぶりです」「今期はどのクラス担当?」などという声と笑顔が、あちこちで飛び交う場でもある。だが、コロナ禍以降は状況も一変。完全オンライン開催などを経て、ここにきて、ようやく一堂に会することができたのである。
会場をちょっと見回してみると、なじみの顔もたくさん見えるが、初対面、または講師室で見かけつつも…という方々が見受けられた。以前は、担当者会議のたびに、新たに採用された講師の「紹介&あいさつタイム」が設けられていたのだが、ここしばらくは、それもままならなかったのだ。と、今回は、しっかり復活。あたたかな拍手が送られて、空間は久しぶりの一体感に包まれた。
7月期からは、それまで時間差で行われていた対面授業も、午前クラスは9時15分から、午後クラスは13時30分からに統一された。そして、新たなクラスも増え、講師室はこれまでのひっそり感がウソのように、活気が戻ってきた。特に午前クラスと午後クラスの講師が重なる時間帯は、まさにコロナ禍以前に戻ったような賑わいである。ここでも「ようやく」をしみじみ感じている。
このように、いろいろなことが「帰ってきた」7月期であるが、中にはうっかり忘れかけていたものが含まれていた。授業での休憩時間の取り方である。この6月までは新型コロナの感染防止を理由に、3時間の授業の合間に10分の休憩に加えて、5分の換気タイムが2回設けられていた。つまり、授業45分で1回、何らかのブレイクが入るというペースだ。オンライン授業開始時から「学生たちの集中力が長くは続かないだろう」という配慮もあって、このルールが採用されていたのだ。
それが7月期からは、15分の休憩1回のみ、つまり従来のルールに戻ったのである。この2年ほど、すっかり特別ルールに慣れてしまい、それが「正規」のように思いかけていた身には、「おお、そうだった!」と目が覚める思いであった。講師はやはり「90分がんばれるかな?」という反応だったが、学生たちはどうかといえば、さほど不都合はないようだ。休憩スペースで「朝ごはん」を食べたり、友だちとおしゃべりを楽しむなど、かえって「15分」を有効活用しているように見える。
ところで、以前からときどき連絡を取り合っている、ずーっと年下の講師に、久しぶりに「元気?」と連絡してみた。すると、「実は…」と彼女曰く、最近、別の仕事に就いたとのこと。それも予想していたので、私は驚かなかった。そして、心から「がんばって」とエールを送った。まだまだ若いのだから、今からいろんなことが経験できると思う。彼女なら、どんなカタチであれ、周囲の人を笑顔にしてくれるだろう。がんばっているその姿が目に浮かぶ。新しい夏が、始まった。