No.175 4年ぶりの大舞台 | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.175 4年ぶりの大舞台

2023/09/06

例年であれば、「暑いとは言っても、8月末ともなれば、朝晩ちょっと秋を感じるようになったね」などという話になりそうなものだが、今年は一向に秋の気配がやってこない。お盆休みにちらっと帰省したが、フェーン現象で猛暑が続いている上に雨がまったく降らない「干ばつ」で、農家はお手上げ状態だという。中旬に向かってきた台風が「ついに雨を降らせるか!」と期待したものの、進路が大幅に西にズレたため、天気予報は真っ赤な太陽マークに変わってしまったようだ。実家の庭にも、今年は元気なひまわりたちの姿はなく、かろうじて1本、太陽に背を向けるように立っていた。

結局、猛暑の話題で終わってしまいそうな8月だったが、25日の金曜日、夏を「熱く」締めくくるべく『ARC日本語学校スピーチ大会』が開かれた。会場は、国立オリンピック記念青少年総合センター、通称「オリセン」の大ホール。ここでの開催は、実に4年ぶりとのこと。その間のことを思えば、ようやくここまで…と、感慨もひとしおだ。4年ぶりゆえ、出場する学生たちは、大ホールの雰囲気を知らない。みんな、会場の空気に飲まれたりしないだろうか。私が担当する準備教育課程クラスからも出場するということで、最後方にある「一般席」から、陰ながら見守ることにした。

今回のスピーチのテーマは「私が見た異文化としての日本」。出場するのは、6組以上のクラスから1名ずつ選ばれた代表で、前半と後半合わせて計15名が発表を行った。受付で配られたプログラムのタイトルを見ただけで、面白そうだなと期待がふくらむ。トップバッターは、なんと担当クラスの学生で、発表は日本と自国の「子どもの自立」に関する違い。途中、やや緊張した様子も見られ、残念ながら入賞はならなかったが、立派にその役目を果たした。他に、「ごちそうさま」に込められた日本文化、キャッシュレス化、温泉にハダカで入る習慣、電話でのお辞儀の不思議、日本人の曖昧さなどなど、学生たちが日常生活で感じた「異文化」がユーモアを交えて堂々と披露された。

結果は、ビジネスクラスと9組の学生が1位から3位を独占。それぞれ、表情豊かなスピーチで観客を引き付けた。特に、優勝した学生のスピーチは『遠慮のかたまり』というタイトルで、出だしこそ予想はできたが、その後、果たしてどう展開していくのか読めず、最後まで飽きさせない内容だった。文句なしの優勝である。スピーチの他にも、5組の学生全員による『学習成果発表会』も行われ、たっぷり楽しめるプログラムだった。また、司会や撮影、舞台担当など、スピーチ大会の実行委員を務めてくれた学生たちにもあたたかい拍手が送られた。早くも次の大会が楽しみである。

さて、ようやく9月に入ったが、いつになったら「秋」が来るのだろうか。暑さもさることながら、とりあえず、深刻な雨不足が続く故郷に、ザーッと恵みの雨が降ることを祈っている。