人生第4楽章へのパスポート (遠藤 節子)
2009/04/01
日本語教師をめざす。検定―目の前に聳え立つ、とてつもなく高くて、威圧的な山に登る。検定―受かるわけない。範囲が非常に広い。年齢的ハンディなし。おまけに、肝心要の日本語文法も完璧でない。しかし、挑戦するには申し分のない相手である。決心。そして、受験勉強の始まりとなった。
私は日本語教育の勉強は通信を受講した。420時間の講座は取っていない。したがって、参考にした書籍はかなりの数であった。とにかく、解らないことがあまりにも多かったのである。そこで、「検定」という山に挑むため、検定とは何かということを探り、それを制覇するための私流の手段を考えた。
Ⅰ.検定を知る ポイントチェック
プロのための試験である
範囲が広範囲に及ぶ
絶対にやりすごしてはいけない必修科目を知る
コミュニカティブあるいはアカデミックジャパニーズを教えることのできる教師のための試験である
Ⅱ.上記のⅠ-1~4までのアプローチ
プロに接近する
範囲が広いので好きなことが1つや2つはきっとあると信じる。
得意科目を探す。
文法、音声、記述は絶対逃すな。
本を閉じ、風景の中の日本語を聞こう。
Ⅲ.アクション
試験に挑む多くの人の中に入る。アークの検定演習科を受講した。これは本当に刺激になった。
朝10:30、奥澤先生は受付奥の部屋で今日の授業の準備をされている。クラスでは、すでに前のほうの座席は受講生が陣取り、ノートや問題集と格闘。熱い背中をじっと眺める。11:00、奥澤先生が入ってこられる。「おはようございます。みなさん、復習しましたか!」この一連の状況は、私に非常なインパクトを与えた。このエネルギーこそ、検定への合格エネルギーであった。アークの検定演習科に来て正解であった。「あたりまえじゃない。」といわれるかもしれない。が、しかし、私にとって、これは大いなる非日常であった。
好きな科目を探す。{国際音声記号表}、「比喩」これらに関して「通」になる。
下記文献に当たる。
・『英語音声学』竹林滋著
・『日本語音声学のしくみ』町田健編
・『岩波講座、日本語5、音声』
文法に関して、特に助詞、連体修飾、動詞、敬語を整理
文法書ならびに、HP『敬語の指針』参照
教師経験未経験のため、検定で扱われている「初級」「中級」の生徒がどのようなレベルなのか把握できていない。そこで、「ボランティアゲスト」を募集しているところで、体験する。韓国、中国語話者等の日本語の特徴等もつかめる。
中国語、韓国語の特徴も、よく試験に出るので4月から3ヶ月間ラジオ講座を聴いた。あまり真剣にやらない。それでも、韓国語には、助詞もあり、日本語同様指示詞が3種、中国語には2種や、有気音、無気音、濃音、激音位は頭に入った。
試験間近になって、試験Ⅱの演習のため、街に出て通常人々はどのように話しているのか書き留めてみた。助詞の脱落は、非常に多い。音韻変化は、思った以上に当たり前の状態であった。しかも、ネイティブスピーカーというものは他の言語同様、かなり早口で話すことも確認。
以上、インプットを文法中心におこなった。同時に問題に挑戦しながら、ミニノートにまとめた。
【問題を解く】
過去問 H16~H20 一日に全部やるのは不可能だったので、試験Ⅰ、Ⅱ、Ⅲとわけて行った。
・『合格水準日本語教育能力検定試験問題集』(アークアカデミー編)
・『日本語教育能力検定 全重要語チェック集』北村弘明著(特に巻末の文法問題100題)
・『月刊日本語』(巻末問題)
・検定演習科のプリント
(特に、第一日目の第一講-社会、文化、地域の様々な数字は最新のものなので絶対に暗記する)
・『日本語教育能力検定試験』( ヒューマンアカデミー)
・『聴解・音声・特訓プログラム』(アークアカデミー編)
・『合格するための本』(アルク)
【HPで確認したもの】
アジア人材資金構想
外国人集住都市会議
総務省―多文化共生推進プログラム
常用漢字の改定
研修・技能実習制度の見直し
定住外国人施策
新たな在留管理制度
【国語辞典巻末で確認したもの】
現代仮名遣い
送り仮名の付け方
外来語の表記について
ローマ字のつづり方
【試験に向けて】
聴解試験対策として、その場であわてないように、用語と、例としてどのようなものがあるか確認する。スピーチレベル、申し出での表現、言いよどみ、依頼の表現等国際音声記号表と母音図を毎日描く。試験のとき、すばやく余白に描くと聴解試験のときに楽です。試験中、アクセントの聞き取り問題は長音と撥音が何拍目にくるのか、事前に書き込んだ。試験前2週間は記述問題と音声に力を入れた。
試験前1ヶ月は、頭が大爆発するのではないかと思うような日々であった。そして、このパスポートを携えて人生の第4楽章が始まる。多分、そう期待する。
このような勉強法をたらたらと書いてしまい、読んでくださった方には本当に感謝します。でも、自分のスタイルを見つけたら迷わず進んでください。私にもできたんだから。
最後になりましたが、授業終了後も質問に丁寧に答えてくださいました先生方、熱い燃えるようなエネルギーを与えてくれた仲間、優しいスタッフの皆様、本当にありがとうございました。
遠藤 節子さん