No.176 うれし、懐かし、秋休み | 日本語教師養成講座のアークアカデミー

No.176 うれし、懐かし、秋休み

2023/10/10

この秋休みに台湾を訪れた。日本語教師生活をスタートした台湾を「第二のふるさと」と呼んでいる私だが、前回訪問はなんと2016年1月上旬。コロナ禍があったとはいえ、ずいぶんとご無沙汰してしまった。反省の意味も込めて、少し長めに滞在しようと、8泊9日とした。すべて台北泊だが、今まで行ったことがなかった台中まで、新幹線に乗って、日帰りで行ってみようと決めていた。

到着したのは、桃園国際空港。宿泊するホテルは、もう一つの台北松山空港の近くなのだが、あえて桃園から台北までの風景の移り変わりを、車窓から眺めるのが好きなのだ。だんだん台北の街に近づくと、徐々にウキウキしてくる。実は今回、うれしい出来事があった。現在、台湾観光局が個人旅行者向けにキャンペーンを実施中。事前にネットで登録した人に、現地空港での抽選で5,000元のICカードが当たるのだ。5,000元といえば、現在のレートで22,000円ほどか。いやいや、そんなうまい話は…と思いつつ抽選に参加すると、「おめでとう!」の文字が。5000元チャージされた、その名も「悠遊カード」を手にした私の8泊9日の台北ステイは、こうしてスタートしたのだった。

以前の生徒さんたちとも再会した。約8年ぶりともなると、お互いに、いい感じのおばさん&おじさんになっている。25年近く前に、1年半ちょっと勉強しただけの彼らは、今ではもう誰も日本語を勉強していない。しかも、一番話せた女性が転勤で海外勤務になってしまい、今回は不在である。料理を食べながら、一人が日本語で「たまご」を「たばこ」と言い間違えれば、他の一人が「それ、香煙のことだよ」と中国語でツッコミを入れる。そんな彼らの日本語と、私のつたない中国語でも、伝えたい気持ちがあれば、笑いながら楽しく会話ができるのだから、本当に不思議なものである。

そして、街歩きと台中へは、台湾在住歴が長い友人がいっしょに回ってくれた。彼女は中国語がペラペラなので、私はつい「通訳に連れられた観光客」になる。いつもそれではいけないと、数日は自分だけで行動し、中国語を積極的に使ってみた。嬉しかったのは、店などでこちらの中国語に対して、外国人だからといって英語などに変えず、中国語で話してくれたことだ。日本の日本語学習者も、日本語で話しかけたら、日本語で返してほしいと思うだろう。学生たちの気持ちがよくわかった。

ところで、宿泊したホテルから歩いて2、3分のところに、小さいながらも夜市があった。何を隠そう、私は台湾の夜市が大好きである。今まで有名な夜市にも行ったが、今回は2つだけ。その小さな夜市と、以前暮らしていた永和市(現・新北市)の夜市だ。初めての夜市と、懐かしいローカルな夜市、今回はこの2つで心は満たされた。煌々と灯る明かりと、人々の熱気…。ああ、またふらりと、あの魅力的な時空に迷い込みたくなった。帰国してまだ間もないが、早くも夜市ロスである。