日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
検索カテゴリー
言語の構造一般
登録日
2006年12月20日
問題
次の文章を読み、各問いに答えよ。
ソシュールは、儀礼・作法などの文化現象を記号としてとらえる記号論を確立し、言語学をその一分野として位置づけた。彼によれば、言語活動の全体のうちには、潜在的言語体系(A)と個々の現実的言語行為(B)とがある。語は、意味するもの(C)と意味されるもの(D)との結合であるが、この結合関係は恣意的である。犬を「犬」と呼ぶことに(①)のである。
他方、(②)は、言語行為論を掲げ、命令や約束に関する行為を行為遂行文と呼んで、事実確認文と区別した。たとえば、ある船の所有者が「私はこの船をエリザベス2世号と名づける」と宣言することは、事実を述べているのではなく、命名という行為を行っているのである。
問1) 文章中の(A)~(D)に入れるのに最も適当な組み合わせを選べ。
1. | A=パロール A=ラング A=パロール A=ラング | B=ラング B=パロール B=ラング B=パロール | C=シニフィアン C=シニフィエ C=シニフィエ C=シニフィアン | D=シニフィエ D=シニフィアン D=シニフィアン D=シニフィエ |
問2) 文章中の(①)に入る適当なものを選べ。
1. 偶然性はない 2. 必然性はない 3. 対義性はない 4. 類義性はない
問3) 文章中の(②)に入る適当なものを選べ。
1. リーチ 2. グライス 3. ファース 4. オースティン
解答
問1) 4
問2) 2
問3) 4
問題解説
問1) | ソシュールはスイスの言語学者。近代言語学の祖。その言語構造についての思想は、構造主義言語学理論の発展を基礎づけた。 |
問2) | 言語記号の意味(シニフィエ)と音(シニフィアン)との間にある関係は恣意的である。 |
問3) | イギリスの哲学者。言語の記述的ではない使用法を分析しつつ、言語行為という概念を詳細に検討した『いかにして言葉を用いてことをなすか』(1955年講演、1962年刊)は、言語学、社会学、心理学、倫理学にまで影響を及ぼした。 |