日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
検索カテゴリー
言語習得・発達
登録日
2005年03月24日
問題
次の文章を読み、各問に答えよ。
バイリンガル研究において、異なる場面で使われる言語能力を、コンテクスト化された言語に関する能力とA非コンテクスト化された言語に関する能力に分ける場合がある。コンテクスト化された言語とは、日常言語・生活言語を指し示すもので、ある特定の場面での言語使用である。主に日常会話で使用されるので、ジェスチャーなどの助けもあり、習得は容易だと考えられている。それに対して、非コンテクスト化された言語とは、場面から離れた言語使用を意味する。つまり、学校・学習場面などで使用される言語で、習得に時間がかかるといえる。
カミンズは、二言語使用にはB共通基底言語能力(Common Underlying Proficiency)が存在するとも述べている。そのため、カミンズは学習の際において、第一言語の能力が第二言語に移行・影響するという(①)を提唱した。
問1 文中下線部Aについて、カミンズはどのように呼んだか。
- Acquisition‐learning Hypothesis
- Limited English Proficient Student
- Basic Interpersonal Communicative Skills
- Cognitive‐Academic Language Proficiency
問2 文中下線部Bについて、最も適当なものを選べ。
- 第一言語と第二言語は基底部分でも異なっているが、特に生活言語能力で背反関係が見られる。
- 第一言語と第二言語は基底部分でも異なっているが、特に学習言語能力で背反関係が見られる。
- 第一言語と第二言語は表面的には異なっていても共有面があり、特に学習言語能力で依存関係が見られる。
- 第一言語能力と第二言語能力は表面的には異なっていても共有面があり、特に生活言語能力で依存関係が見られる。
問3 文中の①に入る適当なものを選べ。
- 言語過程仮説
- 言語相対仮説
- 言語分離仮説
- 言語相互依存仮説
解答
問1 4
問2 3
問3 4
問題解説
問1 これは学習言語能力のことである。カミンズは、コンテクスト化された言語に関する能力を生活言語能力(BICS:選択肢3)、非コンテクスト化された言語に関する能力を学習言語能力(CALP:選択肢4)と呼んで区別した。BICSは会話で使用される言語のため習得は容易だと考えられている。他方、CALPは読み書きの能力などに影響する認知能力のため習得は難しいと考えられている。
問2 カミンズによれば、二言語間で相互に影響しあうのは、主に学習言語能力のほうである。