日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題

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言語習得・発達

登録日

2005年12月22日

問題

次の文章を読み、( ① )~( ④ )に入る適当なものを選べ。

 子どもは、大人とのかかわりの中でたえず社会化されるが、社会化の有効性は、その子どもの現在の発達のレベルとの関連で考えなければならない。ヴィゴツキーは、子どもが独力で示すことのできる認知的能力のレベルと、大人や、より年長の者の援助の元でのみ示すことのできるレベルとを区別し、その間を( ① )とした。学習は発達に先行し、最大の効果的な教育は、子どもの( ① )で起こる。
  ヴィゴツキーによると、人間のすべての( ② )は、社会的( ③ )の中で発達されるとされる。例えば、子どもと母親が共同でパズルを完成させる場面を考えてみよう。一番年少の子どもは、母親の教示がまったくわからないか、わかったとしても、教示と外れた行動を示すとしよう。この発達のレベルでは、母親からの援助は、パズルの学習には有効に働いていない。次に年長の子どもになると、母親の教示を元に、パズルを組み立てていくことができるが、パズルを完成させるために、次にどのピースを置いたらよいのかという( ④ )的な判断を一人ではできない。そのため、その部分を母親からの援助に頼ることになる。さらに年長の子どもになると、母親の援助がなくても、一人でパズルを完成させることができる。パズルを完成させていく子どもの行動と、それをコントロールする母親の間に成立していた外的なコミュニケーションが、子ども自身の内面で生起する内的なコミュニケーションに変化したのである。

  

  1. DQ (developmental quotient)
  2. GPS (general problem solver)
  3. ZPD (zone of proximal development)
  4. LASS (language acquisition supporting system)
     

  1. 認知地図
  2. 潜在記憶
  3. 高次精神機能
  4. レディネス
     

  1. 相互作用
  2. スキーマ
  3. モデリング
  4. モラトリアム
     

  1. メタ記憶
  2. メタ言語
  3. メタ認知
  4. メタ分析

 

解答

① 3
② 3
③ 1
④ 3

問題解説

ZPD (zone of proximal development)とは、「発達最近接領域」と訳される。

注意、記憶、言語、思考などを指す。人間の高次の精神活動の起源は、社会的活動の中にあるというのがヴィゴツキーの研究の中心的主張の一つである。

学習の主体である子どもが、有能な支援者との相互行為の中で可能になったことを、やがて単独でできるようになる内化の過程を学習ととらえる。

メタとは、ある物事を客観的に観察するもう一つの高次の視点のこと。例えば、(主観的な)自分の行為を、もう一人の自分が客観的に観察するということ。ゆえに、メタ認知活動は、認知過程全体をモニターしたりコントロールしたりすることによって、学習や理解が達成目標から外れそうなときに顕在化し、警告を発し、意識的な軌道修正を知らせる。

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